ガーナ
Ghana
サブサハラ・アフリカ
ガーナは西アフリカのポップの源流であり、いまもそのヒットは世界のチャートを駆け上がる。その音楽は三本の柱で立っている。ヒップライフ(ハイライフとヒップホップをかけあわせたもの)、アフロビーツ(ナイジェリアと曲もアーティストも盛んに行き来する)、そして再評価が進む古典ハイライフ(トランペットやサックスなどの管楽器とギターを軸にしたガーナ生まれのポップ)——この三本柱だ。2026年のガーナ音楽賞では、20代のBlack Sherifが年間最優秀アーティスト、ベテランのKofi Kinaataがハイライフ部門の最優秀曲を制し、新旧の世代が同じチャートを分け合った。授賞式の外でも海外への越境は止まらない。MOLIYの『Shake It To The Max (FLY)』リミックスは10億ストリームを超え、Billboardの米アフロビーツ・チャートで22週連続1位を記録した。さらに、そのBlack Sherifを筆頭に、重く沈んだビートが特徴のラップ「ドリル」が一気に主流へ押し上げられている。
自国アーティストの人気曲
- Kwaku The Traveller — Black Sherif · 2022
Black Sherifの代表曲、ドリル寄りビートで「旅人クワク」の物語を歌う。「I am not perfect(俺は完璧じゃない)」というフックでガーナ国民の心を掴んだ。
- Sweet Mother / 優しいお母さん — Prince Nico Mbarga · 1976
アフリカ大陸で歴代最大ヒットの1つ(推定1300万枚)、母親への讃歌。1976年のリリースから50年経っても結婚式・葬式で生き続ける。
Sweet mother, I no go forget you優しいお母さん、君のことを忘れない。
海外アーティストの人気曲
世代・地域・経済による違い
若者層はほぼアフロビーツ一色で、Black Sherifに代表されるドリル寄りのラップも台頭している。30代以上は、ヒップライフの草分けReggie Rockstoneが切り開いた古典的なヒップライフや、国民的な音楽とも言えるハイライフを好む。地方では民族色がぐっと濃くなり、大きく南北で割れる——たとえば南東部のVolta州では、打楽器とコーラスが幾重にも重なるエウェ(Ewe)の伝統音楽が今も生きており、北部ではモシ・ダゴンバ系の音楽、都市部のゾンゴ(ハウサ語を話す移民の街区)ではハウサ語の音楽が共通語として根づく。だがポップの最前線では国境が消える。ガーナとナイジェリアのチャートはほぼ一体で、国境こそ二つあるが実質ひとつの西アフリカ市場として動いている。
