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ロック・メタル

ポルトガル・インディー

Portuguese Indie

リスボン / ポルト / ポルトガル / 南欧 · 2008年〜

別名: Indie português / Nova Onda

2010年代以降のリスボン/ポルトのインディー・ロック/ドリーム・ポップ/エレクトロニクス系。Capitão Faustoが象徴。

どんな音か

ポルトガル・インディーは、2010年前後から独立系レーベル(Amor Fúria、Xita Records、Optimus ディスコs)を中心に育った、リスボン/ポルトの独立系ロック/インディー・ポップの総体だ。中心はリスボンのカピタォン・ファウスト(Capitão Fausto)、ポルトのリンダ・マルティーニ(Linda Martini、より重いポストパンク寄り)、ブラガのセンシブル・サッカーズ(Sensible Soccers、ドリーム・ポップ)、そしてManel Cruz(元Ornatos Violeta)のソロ諸プロジェクトだ。編成は4-5人組が主流で、キーボードとシンセを重要な役割で使う。BPM 90-140、Aメロで内省的に抑え、ブリッジで急に情景を切り替える構造を好み、リスボン/ポルトの都市生活の細部(路面電車の音、ドウロ川の霧、Airbnb化する古い街区)を歌詞に埋め込む。英語ではなくポルトガル語で書く選択が世代的な特徴で、ここが1990年代のSilence 4(英語詞)世代との明確な断絶だ。

生まれた背景

始点は2008年頃、リスボン工業地区のPraça do チリ周辺のライブハウス(Musicbox、Village Underground)と、ポルトのマイア地区の小さな会場(Passos Manuel、Hard Club)から。カピタォン・ファウスト(2008結成、Tomás、Salvador、Domingos、Manuel、Francisco)が2011年『Gazela』でデビュー、以降『Capitão Fausto Têm os Dias Contados』(2014)、『A Invenção do Dia Claro』(2016)、『Amanhã Tou Melhor』(2019)でポルトガル・インディー最大のバンドとなった。彼らは1970年代AOR(スティーリー・ダン、ドゥービー・ブラザーズ)の和声感覚をポルトガル語詩に接続する独特の作風で、ポルトガルロックが『英米のインディーと同じテーブルに座れる』水準に達したことを証明した。リンダ・マルティーニ(ポルト、2003結成、Cláudia Efe、André Henriques、Pedro Geraldes、Hélio Morais)は『Casa Ocupada』(2010)以降、より重いポストパンク寄りの4作でシーンの重要な参照点となっている。

聴きどころ

カピタォン・ファウストの音の特徴は、シンセの選び方だ。1970年代のポリムーグ、ジュノー106のプリセットに近い温かい音色を、電子楽器なのに『部屋の中で鳴っている』ような近い距離感で録音する。これが彼らの音の親密さの源で、Tame Impala(オーストラリア)の90年代AOR再解釈と近い位置にある。歌詞のポルトガル語は詩的で、Tomásの少し掠れた歌声はサビでも決して押しつけない。Linda MartiniのCláudia Efeの歌唱は逆で、ポストパンクの疾走ビートの上を切迫感で走る。Sensible Soccersのドリーム・ポップは、シューゲイズ的な壁の音響ではなく、ブラガ郊外の湿った空気を思わせる残響感を持つ。1曲の中でAメロ→ブリッジ→サビで景色が3回切り替わる構造が世代的な癖で、これは映画的なストーリーテリング志向の反映だ。

発展

Manel Cruz(元Ornatos Violeta)は2000年代以降、Pluto、Foge Foge Bandido、そして本名名義のソロと形式を変えながらポルトガル語の詩的な作曲を続け、若い世代の作家たちの精神的な師の位置にいる。2010年代後半以降はConjunto Corona、Best Youth、Bispo、そして電子寄りのBranko(Buraka Som Sistema主宰)がインディーとエレクトロの境界を溶かした。パーティー・オルガナイザーとしてはBoiler Room Lisbon、そしてOptimus Alive、Vodafone Paredes de Coura、Nos Alive の3つの夏フェスがインディー・シーンの露出装置として機能している。

出来事

  • 2008: Capitão Fausto結成
  • 2011: Capitão Fausto『Gazela』
  • 2011: ポルトガル救済危機
  • 2014: Capitão Fausto『Têm os Dias Contados』
  • 2019: Capitão Fausto『A Invenção do Dia Claro』
  • 2020s: Bispo、Best Youthら新世代

派生・影響

英米インディー・ロック(Pavement、Modest Mouse、Grizzly Bear)から直接影響を受けつつ、Portuguese Rock世代(Ornatos Violeta、Clã)の直接の子孫。Nova Canção Portuguesaとは兄弟関係。

音楽的特徴

楽器エレクトリック・ギター、ベース、ドラム、シンセ、時にサックス、コーラス、field-recordingの都市音

リズムスタンダードなロック4/4、ドリーム・ポップの遅い4/4、時に7/8の変拍子、シンコペーションを多用

代表アーティスト

  • Ornatos Violetaポルトガル · 1994年〜2002
  • The Giftポルトガル · 1994年〜
  • Linda Martiniポルトガル · 2003年〜
  • Sensible Soccersポルトガル · 2006年〜
  • Capitão Faustoポルトガル · 2008年〜

代表曲・現在

日本との関係

ポルトガル・インディーの日本認知はほぼゼロで、ストリーミング・サービスでも日本のプレイリスト圏外にある。カピタォン・ファウストは2010年代後半にヨーロッパ・ツアーで頭角を現したが、アジア進出はまだない。日本で音楽的に近い位置にあるのはceroやカネコアヤノ、ミツメあたりの日本インディーで、これらのバンドとポルトガル・インディーは『非英語圏の内省的インディー』という同じ位置に置ける。実際、カピタォン・ファウストのメンバーは日本のインディー・シーン(cero、Suchmos)にインタビューで言及したことがある。夏フェスの Vodafone Paredes de Coura(ポルト郊外)は日本の Fuji Rock と規模感が似ており、両者を比較する記事がニャック・ハイゴアイメディアで書かれることがある。

初めて聴くなら

入り口はカピタォン・ファウスト『Amanhã Tou Melhor』(2019、『明日は元気になるよ』)——このアルバムはポルトガル・インディーの現時点での到達点だ。次に『Gazela』(2011)、初期の疾走感が味わえる。Linda Martini『Casa Ocupada』(2010、『占拠された家』)、90年代ポルトのポストパンクの完成形。Sensible Soccers『Coconut』(2016)、ブラガのドリーム・ポップの静けさ。Manel Cruzの近年のソロ作品(『Foi Bonita a Festa』2019)は、Ornatos Violeta世代がポルトガル・インディーへどう接続するかを示す。深夜、ヘッドホンで、歌詞を追う余裕はなくて構わない、音の質感だけで聴くのがこの世代には合う。

豆知識

カピタォン・ファウストのバンド名はF・W・ムルナウの1926年の映画『ファウスト』の主人公キャプテン・ファウストに由来し、ゲーテのオリジナルより映画的なメランコリーを意識した命名だ。彼らはリスボンのSagres地区に共同スタジオを持ち、そこでポルトガル・インディーの若手作家(Bispo、Best Youth)を録音・プロデュースする活動もしている——次世代のシーンのハブ機能を担っている。Linda Martiniのバンド名は、David Lynch『Wild at Heart』(1990)の登場人物Lynda Danaに由来する。ポルトガル・インディーの決定的なプラットフォームはSpotifyの月間視聴回数ではなく、リスボンの Musicbox、ポルトの Hard Club、そして毎年8月の Vodafone Paredes de Coura フェスの3か所で、ここでの受け入れ度が業界的なステータス指標になっている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ポルトガル・インディーを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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