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ロック・メタル

ポルトガル・ロック

Portuguese Rock

リスボン / ポルト / ポルトガル / 南欧 · 1978年〜

別名: Rock português / Rock em português / Rock luso

1978年 Xutos & Pontapésから始まる、ポルトガル語で歌う本格ロックの40年史。国民的シンガロング曲を大量に残した。

どんな音か

ポルトガル・ロックは、ポルトガル語で歌われるロック音楽の総体で、1974年カーネーション革命後の言語的解放の直接の産物だ。編成は標準的なロック・バンド(ギター+ベース+ドラム+ボーカル、時にキーボードとハーモニカ)で、Xutos & Pontapésのような重層的なギター・アンサンブル、GNRのようなキーボード・シンセ主体のニューウェイヴ、そして90年代のオルタナ寄り(Silence 4、Ornatos Violeta)まで幅広い。共通するのはAメロで抑えてサビで一気に開くドラマチックな構造、観客が最後の一音まで一緒に歌える民族的シンガロング設計、そしてポルトガル語の詩的な語感(母音の連なり、鼻母音の響き)を最大限活かす作詞姿勢だ。歌詞は初期には政治的解放と若さの祝祭、90年代以降は都市生活の内省、そして2000年代以降は移民、経済危機、アイデンティティの再定義へと拡張してきた。北の英スカンディナヴィアン・ロックのような冷たさはなく、地中海と大西洋の間の独特の温度を持つ。

生まれた背景

1974年4月25日のカーネーション革命は、サラザール-カエターノ独裁(1933-74)を打倒し、ポルトガル語で自由に歌うことを初めて可能にした。それ以前のポルトガル大衆音楽は、体制批判が検閲対象で、ロックはほぼ英語詞に限られていた(Duo Ouro Negro、Quarteto 1111などがその狭い例外だった)。革命後の1970年代後半、ルイ・ヴェロゾ(Rui Veloso)の『Ar de Rock』(1980)がポルトガルロックの土台を敷き、1978年結成のシューツ&ポンタペス(リスボン、Tim、João Cabeleira、Kalu、Zé Pedro、Gui、João Rebelo)が『Cerco』(1984)、『88』(1987)で大衆的アンセム型ロックを確立した。彼らの『A Minha Casinha』は40年経ってもポルトガル語圏のあらゆる祝祭で歌われ続けている国民的アンセムだ。ポルト出身のGNR(1981結成、Rui Reininho)はよりニューウェイヴ寄りの都市的な音像で、『Sê um Homem à Séria』(1988)を代表曲に持つ。

聴きどころ

まず耳を澄ませたいのはボーカルのアクセントだ。ブラジルポルトガル語との対比で、ヨーロッパ・ポルトガル語は子音の切れ味が強く、無強勢音節を極端に短く発音するので、ロックのバックビートに乗せると独特の切迫感が出る。Xutos & PontapésのTimの低音シャウトは、この言語的切迫感を最大化した歌唱の原型だ。次にコード進行で、Aメロは短調(vi-IV-I-V)、サビは長調(I-V-vi-IV)に転調する構造が定型で、これがサビでの解放感を作る。Silence 4『Sextos Sentidos』(1998)はこの構造を最も洗練された形で示している。Ornatos Violeta『Dia Mau』(1999)は、逆に定型を崩して感情の起伏を予測不能にする作曲で、90年代ポルトガル・オルタナの最高到達点だ。GNRのRui Reininhoの歌唱は語りとメロディの中間、いわばDavid Byrne(Talking Heads)のポルトガル語版と考えると分かりやすい。

発展

1990年代は世代交代の時期で、コインブラ出身のSilence 4(1996結成、David Fonseca)が英語詞のオルタナ・ロック『Sextos Sentidos』(1998)でグランジ後の耳を持ったZ世代を掴んだ。ポルト出身のOrnatos Violeta(1994結成、Manel Cruz)は『Dia Mau』を含む1999年『O Monstro Precisa de Amigos』で、90年代ポルトガル・ロックの最高傑作と呼ばれる作品を残した。2000年代以降はThe Gift(1994結成、Alcobaça)がエレクトロニクス寄りの壮大なロックで、Moonspell(1989結成、ブランダ)がゴシック・メタルで、それぞれ国際市場を狙う軸となった。近年はRodrigo Amarante(ex-Los Hermanos)のポルトガル語ソロやCapitão Faustoが世代を代弁している。

出来事

  • 1974: カーネーション革命
  • 1978: Xutos & Pontapés結成
  • 1980: Rui Veloso『Ar de Rock』
  • 1987: Xutos & Pontapés『A Minha Casinha』
  • 1998: Silence 4『Sextos Sentidos』
  • 1999: Ornatos Violeta『O Monstro Precisa de Amigos』

派生・影響

ブラジル・ロック(Legião Urbana、Titãs)とは兄弟関係で、両者はしばしば相互に翻訳・カバーされる。ポルトガル・インディーとNova Canção Portuguesaの直接の親でもある。

音楽的特徴

楽器エレクトリック・ギター、ベース、ドラム、キーボード、時にサックス(Xutos & Pontapésのハーモニカ含む)

リズム標準的なロックの4/4、時に3拍子のバラード、ポルトガル・フォーク由来の跳ねる6/8を混ぜる

代表アーティスト

  • Xutos & Pontapésポルトガル · 1978年〜
  • GNRポルトガル · 1981年〜
  • Ornatos Violetaポルトガル · 1994年〜2002
  • The Giftポルトガル · 1994年〜
  • Silence 4ポルトガル · 1996年〜2001

代表曲・古典

代表曲・現在

日本との関係

日本でのポルトガル・ロックの認知は極めて低い。Xutos & Pontapésは日本盤リリースがなく、Ornatos VioletaもSilence 4も同様だ。ストリーミング・サービスでのみアクセス可能な状態で、日本国内で紹介されるのは音楽ブロガーや在日ポルトガル人コミュニティを介した口伝が中心となる。ただしAmália Rodriguesの1970年代日本ツアーや、2000年代のMariza来日でポルトガル語の音楽を聴くリスナーの一部がロック側にも辿り着く回路はある。日本で最も知られているポルトガル・バンドはおそらくMoonspell(ゴシック・メタル)で、これはメタル・シーンの越境性の結果だ。ロックそのものの直接的な日本受容は薄いが、Xutos & Pontapésの『A Minha Casinha』は在日ポルトガル人のカラオケ定番として東京・横浜の一部バーで歌われている。

初めて聴くなら

入り口はXutos & Pontapés『A Minha Casinha』(1987)——3分の中にポルトガル・ロックの全ての要素が入っている国民的アンセムだ。次に『Homem do Leme』(1984)、Xutos初期のパンク衝動が最も剥き出しになった曲。GNRなら『Sê um Homem à Séria』(1988)、ポルト・ニューウェイヴの決定曲。Silence 4『Sextos Sentidos』(1998)、90年代オルタナの完成形。Ornatos Violeta『Dia Mau』(1999)は少しハードルが高いが、ポルトガル・ロックのアート性の頂点として一度は通っておきたい。歌詞の意味が分からなくても、ボーカルのアクセントとギターのリフだけで音楽的な情報量は十分伝わる。日曜の午後、車の中で、あるいは金曜夜のパブで、大きめの音量で聴くのがこのジャンルには合う。

豆知識

Xutos & Pontapésのバンド名は『蹴りとひっかき』の意で、パンクの初期衝動を体現した命名だった。Xutos & Pontapésは1978年結成、ボーカルのTim(本名António Manuel Ribeiro、1959-)の低音シャウトが40年以上バンドの中核となってきた。2017年11月30日にはギタリストのZé Pedro(本名José Pedro Reis、1956-)が十二指腸潰瘍の合併症で61歳で急逝している。彼らの1987年の楽曲『A Minha Casinha』はポルトガル・サッカー代表チーム(Seleção Portuguesa)のスタジアム・アンセムとして採用され、以降30年以上W杯・欧州選手権のたびに国民全員で歌い継がれている。Silence 4のDavid Fonsecaはバンド解散後、ソロで3枚のアルバムを出しており、その2作目『Our Hearts Will Beat as One』(2005)がポルトガル史上最初のインターネット時代の全国的ヒットとなった。Ornatos VioletaのManel Cruzは1999年の解散後、Pluto、Foge Foge Bandido、ソロ名義で活動を続け、ポルトガル・インディー世代の精神的な師となっている——彼はしばしば『ポルトガル語のRadiohead』と呼ばれる。

影響・派生で結ばれたジャンル

ポルトガル・ロックを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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