K-pop
1990年代以降の韓国で発展した、ダンス・アイドル・映像演出と結合したポップ音楽。
どんな音か
K-popの1曲は、短い場面を次々につないだ映像のように作られている。イントロ、Aメロ、サビ、ラップ、ダンスブレイク、そして最後に音数を減らした静かなサビ(いわゆる「落ちサビ」)。3分のなかで場面が次々に切り替わっていく。テンポ(BPM=1分間の拍数)はおおむね100台後半から130台。キック(バスドラム)はあえて前に出さず、低く唸るシンセのベースが曲を下から支える。その上で、細かく刻んで加工した音が躍動感を生む。ボーカルは何人かのメンバーで分担するが、ライブで歌うことを前提に主旋律はくっきり残り、分厚いコーラスの上を貫く。MV、振り付け、衣装、コンセプトムービーが「曲」とほぼ同格に作られていて、映像を切り離して音だけ聴くのは、舞台の動きの指示(ト書き)を抜いた台本を読むようなものだ。
生まれた背景
1990年代後半、ソウルのSMエンタテインメントがH.O.T.を結成・デビューさせた1996年ごろが、業界としての出発点とされる。日本のアイドル制作とアメリカ合衆国のR&B/ヒップホップを下敷きに、長期トレーニング生制度と海外マーケティングを早い段階で組み合わせた。2000年代後半から少女時代、東方神起、BIGBANGがアジア各地で支持を広げる。2017年の『Love Yourself: Her』がビルボード総合アルバムチャートで7位、翌2018年の『Love Yourself: Tear』で韓国勢初の総合1位に達して以降、英語圏のチャート競争に本格的に加わるようになる。2020年前後には第4世代と呼ばれるグループ(NewJeans、aespa、Stray Kidsら)がデビューした。NewJeansはミニマルな打ち込み、aespaはバーチャルメンバーという設定が特徴だ。いまは過去のK-popや2000年前後のR&B、UKガラージ(2000年前後にイギリスで流行したダンス音楽)の様式を意図的に引用する段階に入っている。
聴きどころ
1曲はイントロ、Aメロ、プリコーラス、サビ、ラップ、ダンスブレイク、落ちサビと進む。各セクションが2〜4小節で次に移るので、最初は「いま何小節目か」より「いまどのパートに入ったか」を追うとリズムがつかめる。サビのメインボーカルが誰か、コーラスの重なり方、低い音(ベース)がわざと遅れて入る瞬間も聴きどころ。MV付きで観ると振り付けがそのまま曲の構造解説になっていることが多い。
音楽的特徴
楽器シンセ、ドラムマシン、声、しばしば多言語のラップ
リズムを聴く
このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。
代表アーティスト
- Girls' Generation (소녀시대)
- BTS
- BLACKPINK
代表曲
- Gee — Girls' Generation (소녀시대) (2009)
- Gangnam Style (2012)
- Spring Day — BTS (2017)
- DDU-DU DDU-DU — BLACKPINK (2018)
- Dynamite — BTS (2020)
日本との関係
東方神起、KARA、少女時代の進出(2010年前後)から日本市場は常に最大の海外売上先。BoAは韓国で生まれた歌手だが日本語アルバムでオリコン1位を取った最初の海外女性アーティストでもある。最近はNiziU、JO1、TWICEのMINAやMOMOら、日本人メンバーを正規メンバーとして含む第4世代グループが当たり前になり、日韓の境界はほぼ消えた。秋元康グループの48/46系列がコンセプト面でNewJeans周辺と相互参照する場面も増えている。
