ポップ

トロット

Trot

韓国 / 東アジア · 1925年〜

20世紀前半の朝鮮半島で成立した、Foxtrotと演歌の影響を受けた大衆歌謡。

どんな音か

韓国の伝統的歌謡曲(韓国版「演歌」)。BPM 70〜130。アコーディオン、エレキ・ギター、エレキ・ベース、ドラム、シンセ・パッド、コーラス。歌は男女両方、こぶし(韓国語で「꺾기 ggeokgi」)を使った節回しが必須、ビブラートも多用。歌詞は韓国語、テーマは故郷、別れ、恋愛、酒、人生の苦み、家族。リズムは2拍子のフォックストロット風が定型(「Trot」の名前は西洋のフォックストロットから)。録音は歌い手の声を最前面に置く。

生まれた背景

日本統治時代(1910〜45)に、日本の「演歌歌謡曲」の影響を受けて朝鮮半島で成立した「Yu-Haeng-ga(流行歌)」が起源。戦後、独立した韓国大衆音楽として発展、1960〜70年代にIhmiae Hyun-mi、Lee Mi-ja、Nam Jin、Tae Jin-ahらが黄金期を作った。1990年代以降は商業的に縮小したが、Tae Jin-ah、Joo Hyun-mi、Hong Jin-young、最近ではIm Young-woong(オーディション番組『ミスター・トロット』2020で優勝)が新世代として台頭。「内ばあさんの音楽」というイメージから、近年は若い世代も聴くジャンルに復活している。

聴きどころ

韓国独自の「꺾기(節回し)」: 一音節のなかで音程を素早く上下させる装飾。日本演歌の「こぶし」と類似だが、具体的な音の動きは違う。サビでの感情の歌い上げ、特に高音域の伸び。アコーディオンの「ふくよかな」音色。

代表アーティスト

  • 李美子韓国 · 1959年〜
  • Na Hoon-a (나훈아)韓国 · 1966年〜
  • Tae Jin-ah (태진아)韓国 · 1973年〜

代表曲

日本との関係

韓国Trotは日本演歌と兄弟関係にあり、相互カバーが多い。美空ひばりの楽曲が韓国語Trotとしてカバーされ、逆に韓国Trotの楽曲が日本演歌としてカバーされてきた歴史がある。Lee Mi-jaの『同し卓』(1971)は美空ひばりの『悲しい酒』(1966)の韓国語カバー。

初めて聴くなら

古典なら、Lee Mi-ja『동백 아가씨 (Camellia Lady)』(1964)。韓国Trotの最高峰の一つ。Nam Jin『가슴아프게 (My Heart Aches)』(1967)、Tae Jin-ah『사랑은 아무나 하나 (Love is Not for Everyone)』(1995)。最近のものなら、Im Young-woong『이제 나만 믿어요 (Trust Only Me)』(2020)。

豆知識

「Trot」(트로트)の名前は、日本統治時代に「フォックストロット(Foxtrot)」のリズムを取り入れた歌謡曲が「トロット」と略されたのが起源。日本語の「演歌」と語源・成立は異なるが、機能的には同じ役割を持つ。2020年のオーディション番組『ミスター・トロット』(TV朝鮮)が大ヒットし、Trotブームが再起動した。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1900年代1920年代1990年代トロットトロット演歌演歌K-popK-pop凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
トロットを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

トロット の系譜全体図(多段)を見る

ジャンル一覧へ戻る