ガバー
1990年代初頭オランダ・ロッテルダムで成立した、極端に速く歪んだキックを特徴とするハードコア・テクノ。
どんな音か
想像するより速い。210〜250BPMの世界で、キックは腹に直撃し、歪んだ角ばった音がずっと続く。シンセは高周波のピコピコした騒々しさで、時々人間の声が叫んだりラップしたりするが、それもほぼ打楽器的。曲の構造も短く、3分で完結し、ほぼ同じパターンが繰り返される。ボーカルは感情を伝えるより、もう一つの音色として機能している。クラブで体が揺さぶられることを前提に作られていて、ヘッドフォンで聴くと耳が疲れる程度に圧縮度が高い。
生まれた背景
聴きどころ
キックのディテイル。一見同じように聞こえる歪みの中に、圧縮、飽和、フィードバック、シンセ的な周波数特性が混在している。シンセのピッチ変化。ボーカルやサンプルが本来のピッチから何度も上下する。曲全体の「短さ」と「反復」がもたらす催眠的・トランス的な効果。もう1つ聴くと、前の曲との違いが見えてくる。
発展
1996年以降Happy Hardcore派生やHardstyleへの分化が進み、2000年代にはMillennium Hardcore/Frenchcoreへと変容した。
出来事
- 1992: Rotterdam Records設立 / 1995: Thunderdome全盛期 / 1996: DJ Paul Elstak『Rainbow in the Sky』
派生・影響
Happy Hardcore、Hardstyle、Frenchcore、Speedcore。
音楽的特徴
楽器TR-909、ディストーション、サンプラー
リズム180-220 BPM、歪んだキック、Hooverリード
代表アーティスト
- DJ Paul Elstak
- Paul Elstak
- Neophyte
- Rotterdam Terror Corps
代表曲
- Braincracking — Neophyte (1996)
- Real Hardcore — Neophyte (2000)
Nin — Neophyte (1995)
Cum On — Paul Elstak (1995)
We Want More — Rotterdam Terror Corps (1995)
日本との関係
初めて聴くなら
クラブ環境やヘッドフォンで踊りながら:Neophyteの「Nin」(1995)。3分で完結し、ガバーの基本構造が最も分かりやすい。やや長めなら「Braincracking」(1996)で、テンポと歪みの組み合わせの変化が追いやすい。Rotterdam Terror Corpsの「We Want More」は当時のガバー・アンセムで、ジャンルの社会的インパクトを感じられる。
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- エレクトロニックアップリフティング・トランス
- エレクトロニックビッグ・ルーム・ハウス
- エレクトロニックロウスタイル
- エレクトロニックフューチャー・ハウス
