古典

カルナーティック古典

Carnatic Classical

インド / 南アジア · 1500年〜

南インドの古典音楽。クリティと呼ばれる作曲作品の演奏とラーガに基づく即興を伴う。

どんな音か

インドの古典音楽。ヴォーカル中心、伴奏としてヴァイオリン、ムリダンガム(両面太鼓)、ガタム(粘土壺)、ターラ(手拍子)。コンサートは2〜3時間の長尺、複数の「クリティ(声楽曲)」を続けて演奏する形式。「ラーガ」(旋法、500種類以上)と「ターラ」(リズム周期、35種類)の組み合わせで楽曲が成立する。即興が音楽の本体で、楽譜は基本的に旋律の骨格だけを伝える。歌詞はサンスクリット語、テルグ語、タミル語、カンナダ語、テーマは神(クリシュナ、ラーマ、シヴァ、ヴィシュヌ)への讃歌。

生まれた背景

16〜18世紀の南インド・タミル/カルナータカ州で、北インドヒンドゥスターニー古典音楽と分岐して独自に発展。「カルナーティック三大作曲家」(ティヤーガラージャ、ムッタイ・ディークシタル、シャーマ・シャーストリー、いずれも18〜19世紀)が作曲した数千曲のクリティが現代の演奏レパートリーの中心。20世紀にはM. S. スッブラクシュミ、セムマンクディ・スリニヴァサ・アイヤル、マハラジャプラム・サンタナム、現代ではT. M. クリシュナ、Bombay Jayashriなど、世代を超えて伝承されている。毎年12月のチェンナイ「マルガジ・フェスティバル」(マドラス音楽祭)が世界的な祭典。

聴きどころ

「アーラーパナ」(冒頭のフリー・リズム即興、5〜30分)で、ラーガの音域全体を歌い手が探索する。続いてクリティ本体に入ると、ターラ(リズム周期、たとえばアディ・ターラは8拍子)が確立する。ムリダンガムの「タカディミ」(口太鼓)で叩かれるリズム言語と、歌い手の即興リズムの掛け合い。

音楽的特徴

楽器声、ヴィーナ、ムリダンガム、ヴァイオリン、フルート

代表アーティスト

  • シャーマ・シャーストリーインド · 1780年〜1827
  • ティヤーガラージャインド · 1780年〜1847
  • ムッタイ・ディークシタルインド · 1795年〜1835
  • M. S. Subbulakshmiインド · 1929年〜2004
  • Lalgudi Jayaramanインド · 1943年〜2013
  • T. M. Krishnaインド · 1988年〜

代表曲

  • Bhaja GovindamM. S. Subbulakshmi (1980)
  • Lalgudi ThillanaLalgudi Jayaraman (1980)
  • Krishna Nee BeganeM. S. Subbulakshmi (1958)
  • Vatapi GanapatimM. S. Subbulakshmi (1963)
  • Endaro MahanubhavuluT. M. Krishna (2010)

日本との関係

日本ではカルナーティック音楽コミュニティは小規模だが、東京・京都に演奏家・指導者がいる。武蔵野音楽大学、東京藝大の民族音楽学コースで研究されている。1980〜90年代にラヴィ・シャンカールの「東洋の精神性」ブームの一環として一部に紹介された。ティヤーガラージャの祭典が毎年米国・欧州・日本でも開催されている。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、M. S. Subbulakshmi『Bhaja Govindam』(1949)。カルナーティック歌唱の最高峰の一つ。アルバムなら、M. S. Subbulakshmi『Carnegie Hall Concert』(1977)、T. M. Krishna『ディスコvery』。Bombay Jayashri『Listening to Life』も入りやすい。

豆知識

M. S. スッブラクシュミ(1916〜2004)は、インドの最高文民勲章「バーラト・ラトナ」を受章した最初の音楽家。1966年に国連総会で歌唱、1979年にアメリカ合衆国カーネギーホールでコンサート。ティヤーガラージャ(1767〜1847)は生涯で約2万4千曲のクリティを作曲したと伝えられるが、現存するのは約700曲。

影響・派生で結ばれたジャンル

カルナーティック古典を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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