ラージャスターン民謡
ラージャスターン砂漠地帯のマンガニヤール・ランガが伝える民謡。
まずはここから
ひとことで言うとラージャスターン砂漠地帯のマンガニヤール・ランガが伝える民謡。
まずはこの曲からマンガニヤール・コミュニティ — Nimbuda ▶ YouTube
代表的な人マンガニヤール・コミュニティ
どんな音か
ラージャスターン州の砂漠地帯から来る音は、乾いた空気にのびる声と弦の倍音が特徴的だ。カマーイチャという擦弦楽器はヴァイオリンより胴が大きく、共鳴弦を多数張るために弾いていない弦まで振動し、音の周囲に霞のような残響が漂う。ドーラクやダブルサイドのタブラが打つリズムは、祝祭の熱気を引き上げるためにだんだん速くなることが多い。マンガニヤール・コミュニティの歌い手は声を喉の奥から引き出すように張り、高い音域に達すると声帯がきしむような歪みが入る。これを技術的な欠点とはとらえず、感情の奥行きとして大切にする美意識がある。
聴きどころ
カマーイチャの音が鳴り始めたら、主旋律よりも周囲に漂う共鳴音に耳を向けてほしい。弦を弾いていないのに鳴り続けるその音が、この楽器の一番の個性だ。歌い手の声には、一つの音の中で上下にゆれるガマック(装飾音)が頻繁に入る。音程を正確に維持するのではなく、音をこねるように揺らすのが正式な技法で、その揺れの大きさが演奏者の力量を示す。
初めて聴くなら
「Nimbuda — マンガニヤール・コミュニティ (1999)」は映画「Hum Dil De Chuke Sanam」で使われた曲で、砂漠の空気感と祝祭のリズムが同時に味わえる。まず声と打楽器の層を別々に追い、次に全体の熱量の上昇を感じてほしい。
代表アーティスト
- マンガニヤール・コミュニティ
代表曲
- マンガニヤール・コミュニティ — Nimbuda (1999)
生まれた背景
マンガニヤールとランガは、ラージャスターンのヒンドゥー教徒・ムスリム双方の豪族に仕えた世襲の音楽師カーストで、詩人・語り部・宴会の演者を兼ねていた。砂漠の隊商路が交わるこの地域には、イランやアフガニスタン、北インドの音楽が重なり、独自のスタイルが形成された。
音楽的特徴の詳細
楽器カマイチャ、サーランギー、ドーラク、カルタル、ハルモニウム、声
リズムケヘルワー・ダドラなどの拍子、力強い砂漠の発声、即興的応答
発展
1960年代以降、コムタ・プラサド・パンディトらの研究と、ラージャスターン政府文化局の保護で世界に知られるようになった。1980年代以降は欧州・米国のワールドミュージック・フェスティバルで頻繁に演奏され、Junoon・Coke Studio などポップ・コラボも進む。
出来事
- 中世: マンガニヤール・ランガの宮廷起源。
- 1956年: ラージャスターン州設立で文化政策。
- 1985年: ロンドンWOMADでマンガニヤール公演。
- 2010年: ルーパヤン・サンスタン(マンガニヤール文書館)拡充。
- 2014年: 『マンガニヤール・セダクション』世界ツアー。
派生・影響
ラージャスターン民謡をベースとした映画歌(『パーヘリー』『デリー6』)、現代カマイチャ作品、世界各地のフォーク・フェスティバルでの紹介。
日本との関係
ラージャスターン民謡が日本で広く知られる機会は多くなかった。ただし映画「マンスーン・ウェディング」(2001年)やワールドミュージック専門店を通じて、インド音楽ファンの一部には届いていた。ヨガや瞑想の文脈でインド伝統音楽への関心が高まった2000〜2010年代には、CDや配信を通じて聴かれるようになっている。
豆知識
マンガニヤールとランガは宗教的には異なるコミュニティ(ヒンドゥー系と世俗ムスリム系)だが、同じ音楽の伝統を共有してきた。このこと自体がラージャスターンの複合文化の象徴として語られることが多い。
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ロンドンのバービカンセンターやパリのサル・プレイエルにも招かれており、ワールドミュージック文脈では比較的知名度が高い。
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