古典

ヒンドゥスターニー古典

Hindustani Classical

インド / 南アジア · 1200年〜

北インドの古典音楽。ラーガとターラを基盤に即興演奏を展開する。

どんな音か

北インド・パキスタンの古典音楽。声楽(ドゥルパドカヤール、トゥムリ)と器楽(シタール、サロード、バンスリ笛、サーランギ、タブラ)が中心。コンサートは2〜4時間の長尺、1曲(「ラーガ」)に20〜90分かける。「ラーガ」(旋法、200種類以上)と「ターラ」(リズム周期、複雑なパターン)の組み合わせで楽曲が成立する。即興が音楽の本体で、楽譜は基本的に旋律の骨格だけを伝える。歌詞はサンスクリット語、ヒンディー語、ウルドゥー語、ペルシア語、テーマは神への讃歌、恋愛、自然、季節。

生まれた背景

古代インドのヴェーダ時代(紀元前1500〜500)に起源を持つサーマ・ヴェーダ詠唱が祖型。中世(13〜16世紀)にイスラム文化(ペルシア・アラブ)の影響を受けて現代の形に発展。北インド系が「ヒンドゥスターニー」、南インド系が「カルナーティック」と分岐した。20世紀のラヴィ・シャンカール(シタール)、アリ・アクバル・カーン(サロード)、ザキール・フセイン(タブラ)、ハリプラサード・チャウラシヤ(バンスリ笛)、ビムセン・ジョシ(声楽)らが世界化を実現。1960年代後半、ジョージ・ハリスン(ビートルズ)がラヴィ・シャンカールに師事し、西洋ロックに大きな影響を与えた。

聴きどころ

「アーラーパナ」(冒頭のフリー・リズム即興、5〜30分)で、ラーガの音域全体を奏者が探索する。タブラが入ってから「ターラ」(リズム周期)が確立する。即興が音楽の本体で、同じラーガでも演奏者によって全く違う表情になる。シタールの「ジュワリ」(独特の倍音響き)、バンスリ笛の息遣い、声楽の「メリスマ」を聴き取る。

音楽的特徴

楽器シタール、サロード、タブラ、サーランギー、声

代表アーティスト

  • Ali Akbar Khanインド · 1936年〜2009
  • ウスタード・ビスミッラー・カーンインド · 1937年〜2006
  • Ravi Shankarインド · 1939年〜2012
  • Bhimsen Joshiインド · 1941年〜2011
  • シヴクマール・シャルマインド · 1955年〜2022
  • シャヒード・パルヴェーズインド · 1965年〜

代表曲

日本との関係

1960年代後半のビートルズ来日、サイケデリック・ロック・ブームを介して日本にもインド古典音楽の関心が広がった。ラヴィ・シャンカールは何度も来日公演を行った。日本人のシタール・タブラ奏者(井上敬三、Ravichandra)も国際的に活動している。武蔵野音楽大学、東京藝大に民族音楽コースがある。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、Ravi Shankar『The Sounds of インド』(1968)。シタール入門の最高峰。Ali Akbar Khan『Morning and Evening Ragas』、ザキール・フセインのタブラ独奏。声楽ならBhimsen Joshi『Raga Miyan ki Todi』。

豆知識

ラヴィ・シャンカール(1920〜2012)は娘ノラ・ジョーンズ(アメリカ合衆国シンガー)、娘アヌーシュカ・シャンカール(現代シタール奏者)を持つ世界的音楽一族。ジョージ・ハリスンは1968年にインドに渡り、ラヴィ・シャンカールに正式に師事した。彼の影響でビートルズ後期(『Norwegian Wood』『Within You Without You』)にシタールが採用された。

影響・派生で結ばれたジャンル

ヒンドゥスターニー古典を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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