ヒップホップ・R&B

ブーンバップ

Boom Bap

ニューヨーク / アメリカ合衆国 / 北米 · 1986年〜

1980年代末〜90年代の東海岸Hip Hopを代表する、サンプリングと太いドラムを基調としたスタイル。

どんな音か

ブーンバップは、90年代東海岸ヒップホップを象徴する太いドラムの鳴り。キックのboom、スネアのbapという擬音そのままに、硬いドラム、ざらついたサンプル、低くループするベースがラップの足場になる。Nasの「N.Y. State of Mind」では暗いピアノのループが街角を作り、Wu-Tang Clanでは荒いサンプリングが集団の声を支える。

生まれた背景

1980年代末から90年代のニューヨークを中心に、サンプラーとドラムマシンを使ったビート制作が成熟する中で定着した。ジャズソウルファンクのレコードを切り出し、SP-1200やMPCで太く鳴らす制作感覚が重要だった。西海岸Gファンクの滑らかさに対し、東海岸の硬い路上感を象徴する音として語られる。

聴きどころ

まずスネアの位置と音色を聴く。乾いた強いスネアが首を振るタイミングを作り、ラッパーはその隙間に言葉を詰める。サンプルは長く展開せず、短いループで空気を固定することが多い。派手なサビより、ヴァースの言葉とビートの噛み合いが中心だ。

代表アーティスト

  • A Tribe Called Questアメリカ合衆国 · 1985年〜2016
  • Mobb Deepアメリカ合衆国 · 1991年〜2017
  • Nasアメリカ合衆国 · 1991年〜
  • J Dillaアメリカ合衆国 · 1992年〜2006
  • Wu-Tang Clanアメリカ合衆国 · 1992年〜

代表曲

日本との関係

日本ヒップホップにも大きな影響を与えた。90年代以降、レコード掘り、サンプリング、太いドラムへの憧れは日本語ラップの制作にも深く入った。クラブDJやビートメイカーの間では、今も東海岸ブーンバップの質感が基準の一つとして聴かれている。

初めて聴くなら

街の緊張感を聴くなら「N.Y. State of Mind — Nas (1994)」。集団の声と荒いループなら「C.R.E.A.M. — Wu-Tang Clan (1993)」。ジャズ感と軽さを持つ入口なら「Scenario — A Tribe Called Quest (1991)」、冷たい暗さなら「Shook Ones, Pt. II — Mobb Deep (1995)」がよい。

豆知識

Boom bapは理論用語ではなく、ドラムの鳴りを口で言った言葉から広まった。だからこそ、説明より音を聴くと早い。キックとスネアだけで時代や街の空気まで連れてくる言葉である。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1970年代1980年代ブーンバップブーンバップヒップホップヒップホップ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ブーンバップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1986年前後 (±25年)

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