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ロック・メタル

グランジ

Grunge

シアトル / アメリカ合衆国 / 北米 · 1988年〜

1980年代末〜90年代初頭のシアトルで成立した、PunkとHard Rockを融合した荒々しいロック。

どんな音か

歪ませたエレキギター2本、ベース、ドラムの4人編成(4ピース)が基本で、ギタリストの一人がボーカルを兼ねることが多い。テンポはやや遅めの100〜140BPM。パンクより遅く、メタルのように整然と刻むのではなく、もっとラフに鳴らす。ハードロックの歪んだギターを「もっと汚く、もっと内省的に」裏返した音色だ。歌い出しの静かな部分(Aメロ)では歪みのない澄んだギター音(クリーン)で弾き、盛り上がるサビで一気に音を歪ませて爆発させる——この静と動の落差が定番の構成になっている。歌は喉を絞った絶叫と、語りに近い低いトーンを行き来する。歌詞が扱うのは不安や自己嫌悪、社会への違和感、抑うつといった暗い感情だ。録音はあえて粗さを残し、コーラス(複数の声を重ねるハーモニー)も最小限にとどめる。ボロボロのフランネル・シャツとジーンズ——服装までが、この音楽の一部だった。

生まれた背景

1980年代後半、アメリカ合衆国ワシントン州シアトル周辺のインディー・シーンで成立した。地元のレーベルSub Popを中心とするシーンから、Mudhoneyや初期のNirvana、さらにSoundgarden、Mother Love Bone(後にPearl Jamへ発展)といった主要バンドが台頭した。1991年9月のNirvana『Nevermind』が世界的に大ヒットし、1992年1月にはマイケル・ジャクソン『Dangerous』を抜いて全米1位に立った。地方のインディー・シーンから商業の中心へ、わずか数か月の出来事だった。続いたのは、内省的なPearl Jam、重く沈むAlice in Chains、よりメジャー寄りのStone Temple Pilots。いずれもシアトルの一語に括られながら音は大きく違い、グランジが単一の音ではなく幅のある潮流だったことを示している。1994年4月、Nirvanaのカート・コバーンが自ら命を絶つ。これが、主流の音楽としてのグランジの終わりを象徴する転機とされる。ただし実際の衰退は数年がかりで進み、この頃には主流の関心はすでにポストグランジや他ジャンルへと移りつつあった。Alice in Chainsのレイン・ステイリーは1996年を最後にバンドとのライブから退いた(2002年に死去)。こうして90年代半ば、グランジは一つの時代として終わっていった。

聴きどころ

イントロは、澄んだギターで弾く4つのパワーコードのリフ。ここにはコーラス(音をわずかに揺らす効果)がかかり、ふわっとした響きになる。それを次の瞬間、歪み全開で弾き直す——この落差が聴きどころだ。「Smells Like Teen Spirit」のイントロが象徴的で、Aメロではわずか2音だけの簡素なフレーズに切り替わる。ボーカルが絶叫する瞬間にベースとドラムが一発を打ち込み、直後に一瞬の空白(間)をつくる。このメリハリも見逃せない。キャッチーなサビを置く代わりに、同じフレーズを何度も繰り返す——これも持ち味だ。

リズムを聴く

このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。

8ビート・バックビート · 120 BPM

代表アーティスト

  • Soundgardenアメリカ合衆国 · 1984年〜2017
  • Alice in Chainsアメリカ合衆国 · 1987年〜
  • Nirvanaアメリカ合衆国 · 1987年〜1994
  • Pearl Jamアメリカ合衆国 · 1990年〜

代表曲

日本との関係

1991〜93年に日本でも大ブームになり、洋楽に詳しくない若者が初めて買った洋楽CDがNevermindだったケースが多い世代がある。Nirvanaは1992年に来日、Pearl Jamは1995年にフジロック級の規模で来日した。日本ロックでは、ナンバーガール、cocco、椎名林檎、ART-SCHOOL、syrup16gなど1990〜2000年代のオルタナ・ロックがグランジの感性を直接的に引き継いだ。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、Nirvana『Nevermind』(1991)。全世界で約3000万枚(うちアメリカ合衆国だけで1000万枚超)を売り上げた、90年代を代表するアルバムだ。続けて聴くなら、Pearl Jam『Ten』(1991)、Soundgarden『Superunknown』(1994)、Alice in Chains『Dirt』(1992)。アコースティックの真価を知るならNirvana『MTV Unplugged in New York』(1994)。

豆知識

グランジ」は英語で「汚れ、垢」の意味。シアトルのバンドの音を評して、レビューなどで「grungy(=汚い、ざらついた音)」と書かれ、それがジャンルの呼び名として定着した。ただし当のNirvanaのメンバーらは、このジャンル呼称を嫌っていた。カート・コバーンが愛用したフェンダー・ジャガー/ムスタング(後に両者を融合したJag-Stangを考案)やジャズマスターは、当時「売れ残りの不人気モデル」だった。だがコバーンら90年代のオルタナティブロック勢が好んで使ったことで再評価が進み、Fenderの再発やオフセット系ギターの人気復活につながった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1960年代1970年代1980年代グランジグランジハードロックハードロックパンクロックパンクロック凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
グランジを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アメリカ合衆国 · 1988年前後 (±25年)