Tech House
ハウスの4つ打ち(1拍ごとにバスドラムが鳴るリズム)に、テクノ譲りの音数をしぼったストイックさを掛け合わせる。1990年代半ばのロンドンで生まれた派生ジャンルだ。
What it sounds like
ハウスとテクノの中間に位置する。テンポはBPM(1分あたりの拍数)で124〜128と、両者のちょうど中間あたりだ。ハウスより音色は乾いて電子的、テクノよりは親しみやすくノリ(グルーヴ)が効く。ベースはハウス譲りの太いシンセ。キックはリズムマシン(TR-909など)で打ち込んだような、硬く乾いた一打だ。その隙間をハイハットが細かく刻み、コンガやシェイカーがグルーヴを押す。歌はほとんど入らず、他の曲などから短く切り取った声の断片(サンプル)を繰り返すだけのことが多い。1曲は6〜8分と長めで、DJがつなぎやすいよう作られている。
How it came about
内輪のパーティーで生まれた乾いた音が、世界中のDJが集うイビサ島を経て、フェスのメインステージを埋めるまでに育った——テック・ハウスの歩みはそういう物語だ。ハウス(温かく声を中心に据える)とテクノ(冷たくミニマル)を融合する試みとして、1990年代半ばのロンドンのアンダーグラウンドから立ち上がった。初期の拠点は、Terry FrancisとNathan Colesが1994年に始めたパーティー「Wiggle」。Eddie Richardsらが回す乾いたグルーヴの実験場になった。2000年代にはイビサ島を通じて世界へ広まり、クラブDC10の名物パーティー「Circoloco」の中心ジャンルになる。やがてSolomunやJamie Jonesらの世代が、フェスのメインフロアを埋める音にまで押し上げた。Jamie JonesがLee Fossと2010年に立ち上げたレーベルHot Creations(ロンドン拠点)は、現行世代を牽引する一大拠点だ。
What to listen for
1拍を4分割した細かいハイハット(16ビート)が、4つ打ちキックの隙間で小刻みに揺れる感覚をまず聴いてほしい。同じベースの繰り返しの上に、別の音(パーカッションやシンセ)が数小節ごとに加わったり消えたりする。この出入りが曲を前へ進める。ディープ・ハウスと比べてリヴァーブが少なく乾いており、ベースは旋律ではなく打楽器のように鳴るのも特徴だ。キックが消える数小節(ブレイクダウン)から、キックが戻る一瞬(ドロップ)へ——この緊張と解放はクラブで流れる電子音楽に共通する作りだが、テック・ハウスはそれを派手なメロディではなく、たった一発のキックの復帰だけでやってのける。そこが効きどころだ。
If you only hear one thing
まず今の音から入ろう。Solomun『Customer Is King』(2018)を流せば、乾いたキックと細かいパーカッションだけで体が動く——テック・ハウスがなぜ世界中のフロアを埋めるのかが分かる。メロディック寄りだが現行世代の代表格だ。もう少し踊らせたいなら、Jamie JonesがリミックスしたAzari & III『Hungry for the Power』(Ridge Street Remix, 2011)。原曲はカナダのグループの歌ものだが、Jonesの手で乾いたフロア仕様に組み替えられた一曲だ。起源に遡るなら、Terry Francis『Architecture』(1998)。Wiggleに連なるDJたちの曲を集めた、乾いたグルーヴの教科書的なミックス作品(複数曲をつないだアルバム)である。
Trivia
Hear the rhythm
The signature rhythm pattern of this genre. Press play to loop it, and follow the score below to see which beat is sounding.
Notable artists
- Chris Lake
- Jamie Jones
- Fisher
Notable tracks
- Lose My Mind — Jamie Jones (2018)
- Losing It — Fisher (2018)
- Operator — Chris Lake (2018)
- You Little Beauty — Fisher (2019)
Tracks From The Crypt — Jamie Jones (2013)
