宗教・霊歌

カッワーリー

Qawwali

パキスタン / 南アジア · 1300年〜

南アジアのスーフィー的礼拝歌。長尺で恍惚へ高まる構成が特徴。

どんな音か

南アジア(パキスタン・北インド)のスーフィー(イスラム神秘主義)信者が、聖者廟で集団で歌う宗教歌。ハーモニウム(ふいご式手風琴)とタブラ(2個1組の手太鼓)、それに7〜10人の男性合唱が手拍子で拍を支え、リード歌手が即興でフレーズを延ばす。1曲は10〜30分の長尺で、後半に向かって徐々にテンポと熱量が上がり、聴衆が恍惚状態に達することを目指す。詩はウルドゥー語、パンジャブ語、ペルシア語が混ざり、神への愛と人間への愛を同じ言葉で歌う。

生まれた背景

13世紀デリーのスーフィー詩人アミール・フスローが、ペルシアとインドの音楽伝統を結びつけたのが起点とされる。長くスーフィー教団内部の儀礼音楽だったが、1970年代後半にヌスラット・ファテー・アリー・ハーンがコンサート用にアレンジを整え、1980〜90年代に世界的なワールドミュージック・ブームに乗って国際的に広まった。彼の死後(1997)も甥のラハト・ファテー・アリー・ハーンらが伝統を継いでいる。

聴きどころ

曲の冒頭3〜5分は静かなハーモニウムの導入とリード歌手の探り合いで、まだ拍がはっきりしない。タブラが入ってから手拍子が加わり、リード歌手と合唱の掛け合いが始まる。同じ詩のフレーズを少しずつ装飾を変えながら何度も繰り返すうちに、聴き手の感覚が変わっていく長さがあるので、途中で止めず最後まで聴くことが鍵。

代表アーティスト

  • Sabri Brothersパキスタン · 1956年〜2011
  • Nusrat Fateh Ali Khanパキスタン · 1965年〜1997
  • Abida Parveenパキスタン · 1973年〜
  • Rahat Fateh Ali Khanパキスタン · 1985年〜
  • アムジャド・サブリーパキスタン · 1990年〜2016

代表曲

日本との関係

ヌスラットは1990年代に来日公演を行い、坂本龍一が『The Last Temple』(1995)で共演している。ピーター・ガブリエルのRealWorldレーベル経由で日本にも紹介され、世界音楽ファンの間で一定の支持を得ている。一般的な認知は薄いが、廃墟系YouTubeチャンネルやチルアウト・プレイリストで再発見される動きはある。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、ヌスラット・ファテー・アリー・ハーン『Allah Hoo Allah Hoo』。30分かけてテンポが上がっていく構造の典型。短く入りたいなら『Mast Mast(Dam Mast Qalandar Mast Mast)』(1990)。Massive Attackがリミックスしたバージョンも有名。

豆知識

ヌスラットはAR ラフマーンの『Bombay』(1995)以降、インド映画音楽にも影響を与えた。1990年代にはエディ・ヴェダー(パール・ジャム)と『Dead Man Walking』のサウンドトラックで共演している。「カッワーリー」はアラビア語の「Qaul(発話・宣言)」が語源で、もとは預言者やスーフィー聖者の言葉を朗誦するという意味。

影響・派生で結ばれたジャンル

カッワーリーを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

カッワーリー の系譜全体図(多段)を見る

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