ガザル
ペルシア・ウルドゥー詩を歌う、北インド・パキスタンの抒情歌曲。
どんな音か
ペルシア・南アジア起源の詩歌で、北インド・パキスタンの古典〜準古典歌曲として発展。BPM 70〜100。ハーモニウム、タブラ、サーランギ(擦弦楽器)が伴奏。歌は男女両方、メリスマ(節回し)を多用し、対句(2行ずつの韻文)を1つずつ歌い上げる。歌詞はウルドゥー語、ヒンディー語、ペルシア語、テーマは恋愛、神への愛、人生の儚さ、酒。1曲のなかで同じ詩のフレーズを少しずつ装飾を変えて繰り返す。歌い手は「ターン」(声の即興フレーズ)で技巧を競う。
生まれた背景
聴きどころ
対句(シェル)構造: 各2行が独立した詩として完結する詩形式。歌い手が1対句を歌うのに3〜5分かけることもある。「ラーガ」(旋法)を選ぶことから始まり、即興で詩を歌い変える。タブラの繊細な伴奏、ハーモニウムの和音的サポート、歌い手のメリスマの絡みを聴く。
発展
メヘディ・ハッサン(パキスタン)・グラーム・アリ(パキスタン)・ベーガム・アクタル・タラート・マフムード・ジャグジット・シン・パンカジ・ウダースらが歌手として国際的に活動した。ジャグジット・シンの『シャーム-エ-ガザル』はガザルを大衆音楽の地位に押し上げた。
出来事
- 14世紀: アミール・フスローによるインド・ガザルの基礎。
- 1869年: ミルザー・ガーリブ死去、詩集成立。
- 1957年: メヘディ・ハッサン放送デビュー。
- 1976年: ジャグジット・シン『The Unforgettables』。
- 2008年: パドマ・ヴィブシャン受章(ジャグジット・シン)。
派生・影響
ボリウッド映画歌の重要な源泉となり、グザル・ナイト形式の南アジア大衆コンサート文化を生んだ。
音楽的特徴
楽器声、ハルモニウム、タブラ、サーランギー、ターンプラ
リズムケヘルワー(8拍)・ダドラ(6拍)、シェール(二行連句)の繰り返し、詩の意味を強調する装飾
代表アーティスト
- ベーガム・アクタル
- メヘディ・ハッサン
- グラーム・アリ
- ジャグジット・シン
代表曲
- Ranjish Hi Sahi — メヘディ・ハッサン (1976)
- Hoshwalon Ko Khabar Kya — ジャグジット・シン (1999)
Mere Humnafas — ベーガム・アクタル (1972)
日本との関係
初めて聴くなら
1曲だけ聴くなら、Mehdi Hassan『Ranjish Hi Sahi』(1973)。ウルドゥー・ガザルの最高峰の一つ。Jagjit Singh『Hothon Se Chhulo Tum』(1981)、Begum Akhtar『Woh Jo Hum Mein Tum Mein Qarar Tha』も定番。最近のものなら、Abida Parveen『Bullah Ki Jaana』(スーフィー寄りだが)。
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 古典ティラーナ
