オランダ語ポップは1970年代のBoudewijn de Grootらシンガーソングライターと、Doe Maarが1980年代に作った「英語ではなくオランダ語で歌う」運動を経て、長らく国内市場専用ジャンルとして続いてきた。決定的な転換は2010年代後半で、Spotifyのローカルチャートが整備されて以降、オランダ語の曲が国内チャートを完全に取り戻した。Suzan & Freekがコロナ禍の2020年に静かなフォーク曲『Als Het Avond Is』で年間ストリーミング1位を取った出来事は象徴的だ。背景には、海外のアリーナポップに疲れた若い聴衆が「自分たちの言葉で歌うコンパクトな歌」へ戻ったという潮流がある。
最初の一曲はSuzan & Freek『Als Het Avond Is』。タイトルは「夜になったら」で、その通り日が落ちる時間にぴったりの素朴なバラードだ。もう少しテンポを上げたいならSnelle『Reünie』、ポップに弾けたいならMaan『Hij Is Van Mij』、変わり種が欲しい人はGoldband『Stiekem』。いずれも歌詞の意味が分からなくても、メロディが分かりやすく書かれているので入りやすい。深夜のリラックスタイムや、雨の日のカフェで小さく流すと、街の余白を埋めるサイズで鳴ってくれる音楽だ。