カヤール
ヒンドゥスターニー古典声楽の現代的主流様式。
まずはここから
ひとことで言うとヒンドゥスターニー古典声楽の現代的主流様式。
まずはこの曲からBhimsen Joshi — Raga Miyan ki Todi ▶ YouTube
代表的な人クマール・ガンダルヴァ
どんな音か
ヒンドゥスターニー古典声楽の中心形式で、ラーガ(音階・旋律型の体系)に基づいた即興歌唱だ。まずゆっくりとした展開部(ヴィランビット・カヤール)で歌い手が音の範囲を探索し、後半に速いリズム(ドゥルト・カヤール)で技巧を見せる。伴奏はタブラー(リズム)とハルモニウムまたはサーランギー(弦楽)で、タンプーラが持続低音(ドローン)を保つ。声の装飾(ガマク、タン、ムルキ)は豊富で、即興の比率が高い。一度の演奏が20〜60分に及ぶこともある。
このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。
聴きどころ
最初はラーガの「核音(ヴァーディ)」を探す。歌い手が何度も戻ってくる音がある——そこがラーガの重心だ。次に、タブラーの拍の周期(ティーン・タール16拍など)を数えながら、声がどこで拍に合わせてどこで外れるかを追う。キショリ・アモンカルやクマール・ガンダルヴァは、独自の解釈でラーガを歌うため、他の演奏家との比較が面白い。
初めて聴くなら
キショリ・アモンカルの『Raga Bhairavi』(1985年)は朝のラーガで、穏やかな旋律と豊富な装飾が特徴だ。まず20分だけ聴き、声がどのように音の空間を作っていくかを追う。クマール・ガンダルヴァの『Nirguni バジャンs』(1965年)は形式が少し自由で、初心者にも入りやすい。
代表アーティスト
- クマール・ガンダルヴァ
- パンディット・ジャスラージ
- キショリ・アモンカル
代表曲
- Bhimsen Joshi — Raga Miyan ki Todi (1972)
- キショリ・アモンカル — Raga Bhairavi (1985)
クマール・ガンダルヴァ — Nirguni Bhajans (1965)
生まれた背景
カヤールはペルシア語で「思考・想像」を意味し、ムガル帝国(16〜18世紀)の宮廷で整備されたと言われる。以前の主流様式ドゥルパドが厳格な構造を持つのに対し、カヤールは詩的自由度と即興の余地が大きく、18〜19世紀に急速に広まった。
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各系統(ガラナ)がデリー・グワーリヤル・ジャイプル・キラナなど都市名を冠し、師匠から弟子へ秘伝的に継承されてきた。
音楽的特徴の詳細
楽器声、ターンプラ、タブラ、ハルモニウム、サーランギー
リズムヴィラムビット(緩)とドゥルット(急)の二部構成、ターン(高速旋律)、エクタール・ティーンタールなどのターラ
発展
20世紀にはバーデー・グラーム・アリー・カーン(パティアラ)、アムジャド・アリー・カーン、クマール・ガンダルヴァ、ビーム・セーン・ジョーシー、キショリ・アモンカル、パンディット・ジャスラージらが世界的名声を得た。録音文化と全国コンサート・ツアーで普及し、現代もインド古典音楽の代表ジャンル。
出来事
- 17世紀: サダーランガによる大成。
- 19世紀: 主要ガラーナの確立。
- 1953年: バーデー・グラーム・アリー・カーン全インド・ラジオ録音。
- 1992年: パンディット・ジャスラージがインド政府パドマ・ヴィブシャン受章。
- 2009年: ビーム・セーン・ジョーシー死去で時代の終焉。
派生・影響
トゥムリー・ガザル・ボリウッド古典歌のラーガ的素材となり、現代インド器楽(シタール・サロード)の演奏様式にも反映される。
日本との関係
豆知識
ガラナ(流派)制度では、同じラーガでも師匠の系統によって装飾の付け方・テンポの取り方・強調する音が異なる。グワーリヤル・ガラナは素直な旋律美を重視し、キラナ・ガラナは音の持続と倍音を重視するとされる。
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現在でも「どのガラナか」は演奏者のアイデンティティの核心だ。
影響・派生で結ばれたジャンル
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