ポップ

同人音楽

Doujin Music

東京 / 日本 / 東アジア · 1996年〜

コミックマーケットなどの同人イベントを流通軸とする、日本独自の自主制作音楽の文化圏。プロ流通に乗らないため多様なジャンルが共存し、特にゲーム音楽をリミックス・アレンジする文化が顕著。

どんな音か

同人音楽は単一の『音像』を持たない。ZUNの東方シリーズは8-bit風のピアノとシンセで構成された古風な和風ファンタジー、DemetoriやHalozyのアレンジは同じ曲をメタル化やトランス化する。共通点は『元曲への愛』と『アマチュア手作り感』が同時に存在すること。音質も統一されず、ラウドネスも曲ごとにばらつきがあり、それが『プロ化されていない親密さ』を生む。

生まれた背景

1990年代後半、PC-98やWindows用のシューティングゲーム『東方Project』の楽曲をアレンジしたファンが、コミックマーケットで販売を始めたことが端緒。ZUNが個人で作曲した音楽の著作権を『二次創作を容認する形』で管理したことで、違法ではない『ファン文化としてのアレンジ』が成立。2000年代を通じて東方関連アレンジは数千のサークルに膨れ上がり、やがてボーカロイド、アニメ、ゲームなど多方向への拡張が起きた。

聴きどころ

ZUNの原曲での『曲作りの素朴さ』を感じ、その後アレンジ版で『同じモチーフがどう変換されるか』を聴き比べることで、同人音楽の本質が見える。特にDemetoriのメタルアレンジでのギターとドラムの激化、Halozyのダンス化でのテンポ上げは、元曲の『骨格』を保ったまま全く異なる情動空間を作り出している。

発展

2010年代Vocaloid/ニコニコ動画文化との交差で爆発的拡大。M3、博麗神社例大祭などの専門イベントもシーンを支える。

出来事

  • 1996: コミケ50頃に音楽ジャンル定着 / 2002: 東方紅魔郷リリース / 2007: 第1回博麗神社例大祭

派生・影響

Touhou Music、Vocaloid、Anison、UTAU。

音楽的特徴

楽器DAW、シンセ、バンド編成、声

リズム可変、JPop/Anison形式、ヴォーカルチョップ

代表アーティスト

  • ZUN日本 · 1995年〜
  • ZUN日本 · 1997年〜
  • IOSYS日本 · 2001年〜
  • Alstroemeria Records日本 · 2002年〜
  • Demetori日本 · 2007年〜
  • Halozy日本 · 2008年〜

代表曲

  • Bad Apple!!ZUN (2007)
  • U.N. Owen Was Her?ZUN (2002)
  • Sengoku RetsudenDemetori (2010)
  • Cosmic MindHalozy (2012)
  • Genocide StormHalozy (2013)

日本との関係

同人音楽は『日本独自の現象』。海外にも二次創作ファンは存在するが、コミックマーケットを核とした『大規模で継続する流通網』は日本以外に存在しない。また東方Projectというゲーム自体が日本ローカルの文化であり、これによって同人音楽も極めて日本的な現象として機能している。アニメファン、ゲームファンを通じて認知は広がっているが、『ジャンル』としてではなく『ファン活動』として捉えられることがほとんど。

初めて聴くなら

まず『U.N. Owen Was Her? — ZUN』で東方の基本系を、次に同じ曲の『Sengoku Retsuden — Demetori』でメタルアレンジを聴く。続けて『Bad Apple!! — ZUN』(ボーカル版)で、同人の『歌唱文化』も体験できる。

豆知識

『Bad Apple!!』のボーカル版(ZUNではなくボーカリスト別バージョン)は、2000年代後半にニコニコ動画で『弾幕動画』文化と結合し、一種のミーム化した。これにより同人音楽が『音だけ』ではなく『映像と不可分』な存在になった珍しい例。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1980年代1990年代2000年代同人音楽同人音楽J-POPJ-POP東方アレンジ音楽東方アレンジ音楽凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
同人音楽を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

日本 · 1996年前後 (±25年)

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