チリ・クンビアは、コロンビア産クンビアの2/4のダンス土台に、キューバのマンボ/チャランガ由来のブラス編成(トランペット2〜3本、トロンボーン、サックス)と、より甘くメロディックなボーカル・スタイルを重ねたバリアントである。テンポは95-110BPMで、コロンビア本家より速く踊りやすい。1962年サンティアゴでLa Sonora Palacios(1961結成、リカルド・パラシオス率いる)が『Un Año Más』のヒットで型を確立し、1970年代以降La Sonora de Tommy Rey(1971結成、トマス・ゴンサレスがリード)が主要スタジアム音楽の座を継いだ。2000年代以降のChico Trujillo以降は「Nueva クンビアチリna」として再登場している。
聴きどころ
La Sonora Palaciosの『Un Año Más』(1962)を聴くと、コロンビア・クンビアと比べて明らかにテンポが速く、トランペットのフレーズがキューバのマンボの語彙で書かれていることがわかる。これがチリ・クンビアの音色的特徴だ。Tommy Reyのボーカルは高音でメロディックで、コロンビアの野太い男性歌手とは対照的で、若い女性層への訴求を意図した設計になっている。2000年代のChico Trujilloは、この伝統的なクンビア・ソノラの上にスカやパンクのビートを混入させており、Nueva クンビアチリnaと呼ばれる新しい方向性を示す。
初めて聴くなら
最初はLa Sonora Palacios『Un Año Más』(1962)、これはチリ・クンビアの型が確立した瞬間の音として聴きやすい。次にTommy Rey『Cariñito』でよりメロディックな1980年代の姿を確認する。現代寄りならChico Trujillo『Loca』(2007)がNueva クンビアチリnaの入り口として最適だ。チリの結婚式で流れている定番曲群として聴くと、この音楽の生活密着的な役割が体感できる。