ヌエバ・カンシオン
アンデス民謡を土台にしたラテンアメリカの抵抗歌。
どんな音か
生まれた背景
聴きどころ
ケーナ(縦笛)の物悲しい音色とチャランゴの細かなかき鳴らしが、アンデスの風土を運んでくる点に耳を澄ませたい。声は朗々と張り上げるより、聴き手にそっと語りかける誠実さが基調だ。民謡のリズムを土台にしつつ、歌詞は明確に現実の社会へ向けられている。
発展
1973年のチリ軍事クーデターでビクトル・ハラが逮捕・拷問の末に殺害され、多くの音楽家が亡命を強いられた。弾圧は逆にこの音楽を国際的な連帯の象徴へと押し上げ、亡命先の欧州やメキシコで継承された。
出来事
- 1966年: ビオレータ・パラが『Gracias a la Vida』を発表。
- 1970年: サルバドール・アジェンデの人民連合政権が成立。
- 1973年: チリ軍事クーデター、ビクトル・ハラが殺害される。
派生・影響
ブラジルのトロピカリアと並ぶ60-70年代ラテンアメリカの抵抗音楽。後のラテンフォークやワールドミュージックにも影響を残した。
音楽的特徴
楽器アコースティック・ギター、ケーナ、チャランゴ、ボンボ、声
リズムアンデス民謡由来の旋法、簡素な伴奏、語りかけるボーカル
代表アーティスト
- Violeta Parra
- Víctor Jara
- Mercedes Sosa
- Quilapayún
代表曲
- Gracias a la Vida — Violeta Parra (1966)
- Te Recuerdo Amanda — Víctor Jara (1968)
- Alfonsina y el Mar — Mercedes Sosa (1969)
日本との関係
初めて聴くなら
ビオレータ・パラ『Gracias a la Vida(人生よありがとう)』(1966)がこのジャンルの精神を凝縮した一曲。ビクトル・ハラなら『Te Recuerdo Amanda』(1968)から入ると、その優しさと悲劇性の落差が胸を打つ。
豆知識
『Gracias a la Vida』を書いたビオレータ・パラは、その翌年に自ら命を絶った。生を讃えるこの名曲が遺作に近いものになったという事実が、曲の重みをいっそう増している。
