フェスト・ノーズ
ブルターニュの夜の集団舞踏祭。
どんな音か
フェスト・ノーズ(夜の祭)は音楽と踊りが分離しない。観客席があるわけではなく、参加者全員が手をつないで輪になるか横に並び、音楽に合わせて足を踏む。音楽はアン・ドロ(3/4拍子の円舞)、ガヴォット(2拍子)、プリン・ブレイズ(進行の踊り)など多くの踊りの形式に対応しており、それぞれに決まった足のステップがある。演奏者はバグパイプ(ビニウ)と太鼓のデュオ、またはアコーディオン、フルート、ギターなどの編成で、フレーズが何十回もくり返される。Alan Stivellはケルト・ハープとロックを組み合わせてフェスト・ノーズの音楽を国際的な文脈に置き、Denez Prigentは伝統的な「カナン・ハ・ディスカン」(掛け合い唱法)を中心に活動している。
生まれた背景
聴きどころ
Alan Stivellの「Tri Martolod」(1971年)ではケルト・ハープとエレクトリックギターが同居する異質な組み合わせを聴く。旋律が繰り返されるにつれて音の密度が変わるかどうか、変わらないとすれば何が変化するかを追う——踊り手の動きを支える音楽として、変わり続けるより安定して繰り返す方が機能する。Denez Prigentの「Gortoz a Ran」(2000年)はカナン・ハ・ディスカン(声だけの掛け合い)スタイルで、楽器なしの二声が絡む独特の緊張感がある。
発展
1970年代Alan Stivellのケルト・リバイバルで都市的人気が爆発。現代ではDenez Prigentら新世代がエレクトロニカと融合させる。年間1000以上のフェスト・ノーズが各地で開催される。
出来事
- 1955: Polig Monjarret再構成
- 1971: Alan Stivell『Renaissance de la Harpe Celtique』
- 2012: ユネスコ無形文化遺産登録
派生・影響
Celtic Rock、Bagad音楽の源流。
音楽的特徴
楽器ボンバルド、ビニウ・コーズ、アコーディオン、フィドル、声
リズムAn Dro、Hanter Dro、Gavotteなど地域舞踏
代表アーティスト
- Bagad Kemper
- Alan Stivell
- Denez Prigent
代表曲
- Gortoz a Ran — Denez Prigent (2000)
- An Dro — Bagad Kemper (2002)
- Suite Sudarmoricaine — Alan Stivell (1971)
- Tri Martolod — Alan Stivell (1971)
An Hentou Treuz — Denez Prigent (1997)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
ブルトン語の「カナン・ハ・ディスカン」は「前唱と後唱」を意味し、一人(または数人)が一節を歌い、別の一人(または数人)が次の節を引き取る掛け合いだ。この唱法は楽器なしの踊り音楽として機能し、声が踊り手のリズムキープの役割を果たす。特筆すべきは、カナン・ハ・ディスカンが原則として楽譜を使わず口承で伝わってきた点で、それがユネスコが無形文化遺産として注目した理由の一つだ。
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- エレクトロニックミュジーク・コンクレート
- エレクトロニック確率音楽
- エレクトロニックアクースマティック音楽
- エレクトロニックスペクトル楽派
