ケニア・ゴスペル
2000年代以降、ナイロビの巨大化した福音派/ペンテコステ派教会が生んだ、スワヒリ語+英語のポップ・ゴスペル。
どんな音か
ケニア・ゴスペルは、2000年代以降ナイロビで急拡大した福音派/ペンテコステ派教会音楽を、ポップ、R&B、時にダンスホールとハイブリッドさせたスワヒリ語+英語のポピュラー音楽だ。テンポは幅広く、バラードなら60-80BPM、アップテンポなら95-115BPM。編成は打ち込みビート+シンセパッド+アコースティック/エレキギター、そしてスタジアム級のリード・ボーカルに合唱コーラスが乗る型が典型。歌詞は Yahweh、恵み、証、Kimwondo(奇跡)といったスワヒリ語+英語の宗教語彙で書かれ、フックが繰り返しの多い集団合唱設計になっている。ラブソング寄りのバラードから、ダンスホール・リディム上の Praise chorus まで、範囲は広い。
生まれた背景
起点は2003年前後、Esther Wahome の『Kuna Dawa』(『薬がある』、キリストによる癒しの意)の全国ヒットと、Reuben Kigame(1970-)によるスワヒリ語ゴスペル・ソングの体系化だった。2010年代前半に Rufftone(本名 Roy Smith Mwatia)、Size 8(本名 Linet Munyali)、Willy Paul(本名 Wilson Abubakar Radido、1993-)、Bahati(本名 Kevin Kioko、1993-)、Guardian Angel(本名 Peter Omwaka、1990-)が世代の顔となり、2015-20年の間にゴスペルは実質的にケニアのポップ市場最大のセグメントの一つになった。ナイロビの Christ is the Answer Ministries、Deliverance Church、ハウス on the Rock などの巨大教会は数千人規模の日曜礼拝を毎週行い、そこで演奏される音楽がそのまま Citizen TV、Family Media、Hope FM のプライム・タイム番組になっている。
聴きどころ
発展
2010年代後半以降、Willy Paul と Bahati は宗教音楽と世俗ポップの境界を跨ぐことで議論を呼び、Bahati は2022年の国会議員選挙にも出馬した(落選)。世代の下からは Nviiri the Storyteller、Bien(Sauti Sol)のゴスペル寄り曲、Mercy Masika、Emmy Kosgei らが続き、ケニア・ゴスペルは日曜午前の Citizen TV、Family Media、Hope FM のプライム・タイムを占め続けている。
出来事
- 2003: Esther Wahome『Kuna Dawa』
- 2013: Bahati、Groove Awards 新人賞
- 2015: Willy Paul『Digiri』
- 2022: Bahati 国会議員選挙出馬
派生・影響
ゴスペル(regional_variant)、ハイライフ由来のアフリカ教会音楽伝統からの間接的影響(influenced)。
音楽的特徴
楽器打ち込みドラム、シンセ、キーボード、エレキ/アコースティック・ギター、リード+集団ボーカル
リズムバラードの3/4や6/8、アップテンポの4/4、コール・アンド・レスポンス、フックの繰り返し
代表アーティスト
- Willy Paul
- Guardian Angel
- Bahati
代表曲・古典
Digiri — Willy Paul (2015)
代表曲・現在
Barua Ya Siri — Bahati (2016)
Mama — Bahati (2017)
God is Good — Guardian Angel (2018)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- ラテン・カリブケニア・レゲエ
- 伝統・民族カプカ
- ヒップホップ・R&Bケニアン・ヒップホップ
- 伝統・民族ゲンゲトーン
