伝統・民族

シャアビー(エジプト)

Egyptian Sha'abi

カイロ / エジプト / 北アフリカ · 1972年〜

別名: Sha'bi

1970年代カイロ庶民街区で生まれた、社会批評と諧謔を含む下町歌謡で、後のマハラガナートの直接の母体。

どんな音か

エジプトのシャアビーは、カイロの下町から出てきた庶民の歌謡。声はざらつき、旋律はアラブ的にこぶしを回し、リズムは結婚式や路上のスピーカーで踊れる強さを持つ。Ahmed Adaweyaの歌には笑い、皮肉、性的なほのめかし、社会への愚痴が入り、きれいに整えた古典歌謡とは違う街の匂いがある。

生まれた背景

1970年代のカイロ庶民街区で広がり、カセット文化が大きな役割を果たした。高尚なタラブや国営メディアの歌謡に対し、シャアビーは労働者や若者の言葉で日常を歌った。のちのマハラガナートにもつながり、エジプトの都市下層の声を音楽産業へ押し上げた。

聴きどころ

声の荒さと、打楽器の腰の低さを聴く。歌手は美声で整えるより、言葉を投げ、観客を煽る。リズムは踊りやすいが、歌詞には冗談や政治的な棘があることも多い。古典的なアラブ音楽より、サビや掛け声が近く感じられる。

発展

1990年代にシャアバン・アブデル・レヒムが新世代を象徴し、2000年代にハキムが商業的成功を収めた。エジプトの2011年革命前後にマハラガナートが派生し、シャアビーは伝統側に位置付け直された。

出来事

  • 1972: アハメド・アドゥウィヤ初録音
  • 1984: シャアバン・アブデル・レヒム録音
  • 2000: ハキムがアラブ全土でブレイク
  • 2010: マハラガナートが分岐

派生・影響

タラブ、マハラガナート、サイディ音楽、現代アラブ・ヒップホップと交差。

音楽的特徴

楽器ウード、アッコルディオン、エレキオルガン、ダルブッカ、声

リズムマクスーム拍子、即興、社会風刺歌詞

代表アーティスト

  • Ahmed Adaweyaエジプト · 1972年〜
  • Shaaban Abdel Rahimエジプト · 1995年〜2019

代表曲

  • El SahAhmed Adaweya (1973)
  • Ana Bakrah IsraelShaaban Abdel Rahim (2000)
  • Bint el-SultanAhmed Adaweya (1975)
  • Salametha Umm HassanAhmed Adaweya (1972)
  • Ana Bahebak Ana BakrahakShaaban Abdel Rahim (2000)

日本との関係

日本ではベリーダンスや中東ポップの文脈で断片的に触れられるが、歌詞の社会批評まで紹介されることは少ない。エジプト映画や都市文化を追うと、シャアビーは高級文化だけでは見えないカイロの声として重要になる。

初めて聴くなら

入口は「Salametha Umm Hassan — Ahmed Adaweya (1972)」。シャアビーの庶民的な声とリズムが分かる。政治的な話題性を含む例として「Ana Bakrah イスラエル — Shaaban Abdel Rahim (2000)」、踊りの熱なら「Bint el-Sultan — Ahmed Adaweya (1975)」がよい。

豆知識

Shaabiは民衆のという意味で、アルジェリア・シャアビと同じ語源を持つ。ただしエジプトではカイロの庶民歌謡として、カセット、結婚式、下町の笑いと強く結びついて発展した。

影響・派生で結ばれたジャンル

シャアビー(エジプト)を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

エジプト · 1972年前後 (±25年)

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