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エジプト

Egypt

中東・北アフリカ

市井の若者がつくり出したジャンル「マハラガナート(マハラガーナート)」がSpotify上位を席捲している――エジプトはそんな珍しい国だ。もとは結婚式や街頭で鳴る、庶民の祝祭音楽だった。庶民の歌謡『シャアビー』を電子音楽化したもので、2000年代にカイロのSalam City(サラーム・シティ)の労働者地区を発端に生まれた。長年「下品だ」と蔑まれ、2020年には音楽家組合(シンジケート)が公の場での演奏を一時禁止したほどだ。それがTikTokで2020〜24年に一気に広まり、いまや正式チャートの首位を争うまでになった。上流層が安心して聴ける古典歌謡(タラブ)や、アムル・ディアブ(Amr Diab)、アンガム(Angham)ら洗練されたアラブ・ポップも、依然として上位に並ぶ。つまりこのチャートは、何を聴いていると堂々と言えるか――中流層のその意識の変化を、そのまま映している。

自国アーティストの人気曲

  • Toul Mena 'Ali Toul Mena Nageh (上るたびに勝つ)Hamo El-Morshedy · 2025

    Spotifyエジプト首位の人気曲(10万再生/日近く)。電子シャアビー(マハラガナート)の代表。

  • Tamally Maak (تملي معاك) いつも君とAmr Diab · 2000

    エジプト中流階級の音楽的アイデンティティ。Amr Diabはアラブ世界の「キング」、MENA全体Spotify Wrapped 2025の首位アーティスト。

  • Sidi MansourSaber El Roubaii · 1997

    結婚式・パーティーで世代横断で愛される定番。

海外アーティストの人気曲

世代・地域・経済による違い

マハラガナートは元来、文化エリートから「下品」「無教養」と長年さげすまれてきた音楽だ。それをZ世代が覆し、いまや庶民の足である乗合ミニバスから上流の結婚式まで、全階層に広がっている。一方で上中流層は、いまも現代ポップの無難な定番としてアムル・ディアブ(Amr Diab)を好む。さらに格上の拠り所として、ウンム・クルスーム(Umm Kulthum)に代表される古典歌謡(タラブ)の名曲を、安心して聴ける音楽とする層も根強い。地方では、上エジプト(国土の南部)の伝統的な民族音楽サイーディ(Saidi)がいまも歌い継がれている。

参考資料

- Spotify Egypt Daily: https://kworb.net/spotify/country/eg_daily.html - Wikipedia Mahraganat: https://en.wikipedia.org/wiki/Mahraganat