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エチオピア

Ethiopia

サブサハラ・アフリカ

エチオピアは、サハラ砂漠より南のアフリカ(サブサハラ)では珍しく、聴かれる音楽のほとんどを国産でまかなう市場だ。海外ヒットにほぼ頼らず、国内の曲だけでチャートが回る。主軸はアムハラ語ポップ(Amharic pop)。土台にあるのは、5音だけで旋律を組み立てる音階(ペンタトニック)だ。雰囲気の違う複数の音の並べ方をまとめて kignit(クニット)と呼び、中でも tizita(ティザータ)は「郷愁」を意味する甘く切ない音階で、エチオピアブルースとも呼ばれる。どこか物悲しく、聴いた瞬間にエチオピアと分かる——この響きが、ほかのアフリカのポップスから一発で聴き分けさせる。1960年代後半から70年代のエチオ・ジャズも、この5音の音階から生まれた。シーンの中心にいるのは、アルバムが政治的な出来事にもなるTeddy Afroや、ベテランの歌姫Aster Awekeといった国民的歌手たちだ。Spotifyの利用率は低く、YouTubeとTikTokが事実上のチャートになっている。

自国アーティストの人気曲

海外アーティストの人気曲

世代・地域・経済による違い

アムハラ語ポップは世代を越えて聴かれる。10代も中高年も同じ曲を口ずさむため、世代間の好みの差は、他のアフリカ諸国よりずっと小さい。地方では、ティグリニャ語・オロモ語・グラゲ語(Tigrigna・Oromo・Guragigna)といった各地方言語の音楽が、アムハラ語ポップとチャートの座を奪い合うのではなく、共存して聴かれている。アフロビーツK-popの浸透は、アフリカ大陸でもとりわけ浅い。理由は二つ。世界のヒット曲を届ける配信サービスがこの国にはほとんど根づいていないこと。そして、kignit の響きが地元の耳をしっかり捉えていることだ。配信全盛の今も、新人の登竜門はアディスアベバのアズマリ酒場での生演奏だ(アズマリは伝統的な弾き語り芸人を指す)。

参考資料

- YeneVibe Weekly Ethiopian Top 100: https://yenevibe.com/charts/