ラテン・カリブ

トロピカリア

Tropicália

ブラジル / 南米 · 1967年〜

1960年代後半のブラジルで成立した、ロック・前衛・伝統音楽を融合した文化運動的音楽。

どんな音か

1960年代後半のブラジルで成立した、ボサノヴァ・サンバとロック・サイケデリアを融合した実験的ポップ。BPM 80〜120。アコースティック・ギター、エレキ・ギター(歪み有り)、ベース、ドラム、ホーンセクション、ストリングス、シンセサイザー、サンバ系打楽器。歌は男女両方、語りに近い親密さから絶叫まで。歌詞はポルトガル語、テーマはブラジルの政治、文化、矛盾、消費社会、自己批判、ファッション。録音はわざとローファイで、当時のスタジオ実験性を残す。

生まれた背景

1967〜69年のブラジル、軍事政権下(1964〜85)。Caetano Veloso、Gilberto Gil、Os Mutantes、Tom Zé、Gal Costa、Maria Bethânia、Nara Leãoが結集して『トロピカリア ou Panis et Circencis』(1968)を発表、運動が確立した。1968年12月にCaetano VelosoとGilberto Gilが軍事政権により逮捕、1969年にロンドンへ亡命(1972年帰国)。亡命中の作品も含めて、1970年代以降のMPB(MPB)の根幹を作った。Os Mutantesは1970年代に活動、1990年代以降にKurt Cobain、Beck、David Byrneらが再評価したことで世界的に再発見された。

聴きどころ

ボサノヴァのコード進行とロックのエレキ・ギターの組み合わせ。ホーンセクションのスペイン・スタイルの編曲。歌詞のポルトガル語の韻律と、エレキ・ギターのファズ歪みの組み合わせ。Os Mutantesのテープ実験(逆回転、ピッチ変更)、サイケデリック・ロックとの並行性。

代表アーティスト

  • Gilberto Gilブラジル · 1962年〜
  • Caetano Velosoブラジル · 1965年〜
  • Gal Costaブラジル · 1965年〜2022
  • Os Mutantesブラジル · 1966年〜

代表曲

日本との関係

1990年代以降、Caetano Veloso、Gilberto Gil、Os Mutantesの来日公演が頻繁に行われた。Cornelius、ピチカート・ファイヴ、フィッシュマンズ、星野源(『ばらばら』など)に直接の影響が見られる。Lisa Ono、小野リサらブラジル音楽の日本人プレイヤーも継承している。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、Caetano Veloso, Gilberto Gil, Os Mutantes & others『トロピカリア ou Panis et Circencis』(1968)。運動の集大成。Caetano Veloso『Caetano Veloso』(1968、白いアルバム)、Os Mutantes『Os Mutantes』(1968)、Gilberto Gil『Gilberto Gil』(1968)。

豆知識

トロピカリア」という名前は、1967年のリオ・ビエンナーレ展で美術家エリオ・オイチシカが発表したインスタレーション作品名から取られた。Caetano VelosoはCaetano本人が「自分たちは美術運動の延長として音楽運動をやった」と認識していた。Os MutantesのRita Lee(2023年没、76歳)は、ブラジルロック界における女性のパイオニア。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1960年代トロピカリアトロピカリアロックロックMPBMPB凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
トロピカリアを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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ブラジル · 1967年前後 (±25年)

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