古典

ロシア五人組

The Mighty Handful

サンクトペテルブルク / ロシア / 東ヨーロッパ · 1860〜1890年

別名: The Five / Mighty Five

1860〜70年代ペテルブルクで活動した、ロシア国民楽派の中心となる5人の作曲家集団。

どんな音か

ロシア五人組は、ロシアの民話、歴史、東方趣味を西欧式の作曲法と違う角度から鳴らそうとした作曲家集団。ムソルグスキーは荒削りな語り、リムスキー=コルサコフは鮮やかな管弦楽、ボロディンは広い旋律が印象的だ。

生まれた背景

1860〜70年代のペテルブルクで、バラキレフを中心に活動した五人の作曲家を指す。西欧の音楽院的訓練とは距離を取り、ロシア語の抑揚や民謡、歴史題材を使った国民的な音楽を目指した。

聴きどころ

オーケストラの色と、民謡風の旋律を聴くとよい。整ったドイツ風の形式より、場面の色彩や物語の濃さが前に出る。低音の重さ、木管の異国的な旋律、打楽器の使い方にも特徴がある。

発展

ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」「展覧会の絵」、ボロディン「イーゴリ公」「中央アジアの草原にて」、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」「金鶏」が主要作で、各人異なる路線を模索した。リムスキー=コルサコフはペテルブルク音楽院教授となり次世代(グラズノフ、ストラヴィンスキー)を育てた。

出来事

  • 1862: バラキレフ、無料音楽学校設立
  • 1874: ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」初演、「展覧会の絵」作曲
  • 1888: リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」
  • 1890: ボロディン「イーゴリ公」初演(リムスキー補筆)

派生・影響

ストラヴィンスキー「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチへ国民楽派の遺産が継承され、20世紀ロシア音楽全体の基礎となった。

音楽的特徴

楽器管弦楽、ピアノ、オペラ

リズム民謡素材、教会旋法、全音音階

代表アーティスト

  • アレクサンドル・ボロディンロシア · 1860年〜1887
  • モデスト・ムソルグスキーロシア · 1860年〜1881
  • ニコライ・リムスキー=コルサコフロシア · 1865年〜1908
  • イーゴリ・ストラヴィンスキーロシア/フランス/米国 · 1908年〜1971

代表曲

日本との関係

日本では「展覧会の絵」「シェエラザード」「ダッタン人の踊り」がクラシック名曲として親しまれている。吹奏楽編曲でも演奏され、ロシア的な色彩の入口になっている。

初めて聴くなら

ピアノと管弦楽版の両方で楽しめる「展覧会の絵 — モデスト・ムソルグスキー (1874)」。管弦楽の物語性なら「シェエラザード 作品35 — ニコライ・リムスキー=コルサコフ (1888)」。広い旋律なら「中央アジアの草原にて — アレクサンドル・ボロディン (1880)」がよい。

豆知識

五人組の全員が同じ作風だったわけではない。共通していたのは、ロシアの言葉や物語を借り物ではない音楽にしたいという意識だった。チャイコフスキーのような音楽院系の作曲家とは対照的に語られるが、実際には互いに影響し合いながらロシア音楽の国際的な耳を作っていった。 西欧の形式を学びながらも、東方的な音階や物語を使ったため、オーケストラの色彩に独特の濃さが出た。 彼らの作品を入口にすると、ロシア音楽が単に暗いだけでなく、物語性、色彩、民謡的な歌心を強く持つことが分かる。

影響・派生で結ばれたジャンル

ロシア五人組を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

ロシア · 1860年前後 (±25年)

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