古典

チェコ国民楽派

Czech Nationalism

プラハ / チェコ / 中央ヨーロッパ · 1860〜1930年

19世紀後半のボヘミア・モラヴィアで、チェコ民族文化を音楽で表現した楽派。

どんな音か

チェコ国民楽派は、ボヘミアとモラヴィアの言葉、舞曲、民話、風景をクラシック音楽へ移した流れ。スメタナは民族の物語を大きな管弦楽で描き、ドヴォルザークは舞曲のリズムを温かな旋律に変え、ヤナーチェクはチェコ語の抑揚を鋭く音にした。

生まれた背景

19世紀後半、ハプスブルク帝国の中でチェコ語文化を守り、育てる意識が高まった。オペラ、交響詩、舞曲、室内楽が民族的な題材を扱い、音楽は文化的な自己表現の場になった。

聴きどころ

民謡風の旋律だけでなく、舞曲のリズムや言葉のアクセントを聴くとよい。スメタナでは物語性、ドヴォルザークでは歌うような温かさ、ヤナーチェクでは短い動機の生々しさが鍵になる。

発展

スメタナ「我が祖国」「売られた花嫁」が国民音楽の基礎を作り、ドヴォルザークが交響曲、室内楽、オペラ「ルサルカ」で国際的成功を収めた。ヤナーチェクはモラヴィア民謡採集と「話し言葉のメロディ」研究を背景に、独自の言語的旋律書法でオペラ「イェヌーファ」「カーチャ・カバノヴァー」を書いた。

出来事

  • 1866: スメタナ「売られた花嫁」初演
  • 1874: スメタナ「我が祖国」より「モルダウ」
  • 1893: ドヴォルザーク「交響曲第9番(新世界より)」初演
  • 1904: ヤナーチェク「イェヌーファ」初演

派生・影響

20世紀チェコ作曲家(マルティヌー)、東欧国民楽派全般、現代の民族言語的書法(リゲティのモラヴィア研究)に影響を残した。

音楽的特徴

楽器管弦楽、室内楽、オペラ

リズム民謡素材、ボヘミア舞曲、言語的旋律

代表アーティスト

  • ベドルジハ・スメタナチェコ · 1840年〜1884
  • アントニン・ドヴォルザークチェコ · 1865年〜1904
  • レオシュ・ヤナーチェクチェコ · 1880年〜1928

代表曲

日本との関係

日本では「モルダウ」や「スラヴ舞曲」が広く知られ、学校教育や演奏会で親しまれている。ドヴォルザークは交響曲「新世界より」も人気が高く、チェコ音楽への入口になっている。

初めて聴くなら

入口は「我が祖国 — ベドルジハ・スメタナ (1879)」。舞曲の親しみやすさなら「スラヴ舞曲集 作品46 — アントニン・ドヴォルザーク (1878)」。20世紀的な鋭さは「シンフォニエッタ — レオシュ・ヤナーチェク (1926)」がよい。

豆知識

チェコ国民楽派は、民族的な音を単に民謡引用で作ったわけではない。言葉のリズム、歴史意識、劇場文化まで含めて音楽化した。スメタナの「我が祖国」は風景描写であると同時に、チェコ語文化が政治的な意味を持った時代の音の記念碑でもある。 ヤナーチェクまで進むと、民謡風の親しみやすさより、会話の断片のような短い動機がチェコ語の生々しさを伝える。 ドヴォルザークの国際的な成功も、チェコ的な旋律を閉じた地方色ではなく、世界の聴衆に届く歌として磨いた点にある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1860年代チェコ国民楽派チェコ国民楽派ロシア五人組ロシア五人組凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
チェコ国民楽派を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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