古典

交響詩

Symphonic Poem

中央ヨーロッパ · 1840〜1920年

別名: Tone Poem

標題音楽の代表ジャンル。文学・絵画・思想を素材に、単一楽章の管弦楽作品で物語を描く。

どんな音か

交響詩は、文学、絵画、自然、思想を一楽章の管弦楽で描く標題音楽。ソナタや交響曲の抽象的な構成より、物語やイメージを音で追う。スメタナの「モルダウ」では川の流れが弦のうねりになり、リヒャルト・シュトラウスでは巨大なオーケストラが哲学的な身ぶりまで鳴らす。金管、打楽器、ハープ、木管の色が場面を描く。

生まれた背景

19世紀半ば、リストが単一楽章の管弦楽作品として交響詩を押し広げた。ロマン派の時代、音楽は詩や文学、民族意識、自然描写と結びつき、プログラムを持つ管弦楽作品が増えた。交響曲ほど形式に縛られず、オペラほど舞台を必要としないため、作曲家は想像上のドラマをオーケストラで描けた。

聴きどころ

曲の題名や背景を少し知ってから聴くと入りやすい。川、英雄、夜明け、戦いなどのイメージが、どの楽器の音色で表されるかを追う。主題が形を変えて戻ることも多いので、最初に出た旋律が後半でどう変化するかに注目したい。

発展

リスト13曲の交響詩(「前奏曲」「タッソー」「マゼッパ」など)が出発点となり、スメタナ「我が祖国」、ボロディン「中央アジアの草原にて」、サン=サーンス「死の舞踏」、ドヴォルザーク、シベリウス、R.シュトラウス(「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲル」「ツァラトゥストラはかく語りき」「英雄の生涯」「アルプス交響曲」)などが代表的傑作を残した。

出来事

  • 1830: ベルリオーズ「幻想交響曲」初演
  • 1854: リスト「前奏曲」初演
  • 1874: スメタナ「我が祖国」より「モルダウ」
  • 1898: R.シュトラウス「英雄の生涯」

派生・影響

20世紀の管弦楽標題作品(レスピーギ「ローマの松」、ガーシュウィン「アメリカ人 in パリ」)、映画音楽の管弦楽書法に直接影響を与えた。

音楽的特徴

楽器管弦楽

リズム単一楽章、主題変容、標題的構成

代表アーティスト

  • フランツ・リストハンガリー · 1830年〜1886
  • ベドルジハ・スメタナチェコ · 1840年〜1884
  • グスタフ・マーラーオーストリア · 1880年〜1911
  • リヒャルト・シュトラウスドイツ · 1880年〜1949
  • グスターヴ・ホルストイングランド · 1895年〜1934

代表曲

日本との関係

日本のクラシック演奏会でも交響詩は人気がある。「モルダウ」は学校教育でも知られ、管弦楽入門として親しまれている。吹奏楽編曲で演奏されることもあり、物語を持つオーケストラ曲として日本の聴衆に届きやすい。

初めて聴くなら

描写が分かりやすい入口は「我が祖国『モルダウ』 — ベドルジハ・スメタナ (1874)」。壮大な開始で聴きたいなら「ツァラトゥストラはかく語りき 作品30 — リヒャルト・シュトラウス (1896)」。形式の出発点を知るなら「前奏曲 — フランツ・リスト (1854)」がよい。

豆知識

交響詩は詩を朗読する音楽ではない。詩的な題材をオーケストラに移した音楽で、ストーリーを一対一で説明するより、聴き手の想像を動かす余地が大きい。リスト以後、単一楽章の中で主題を変形させる技法が発達し、映画音楽のように場面を音でつなぐ発想にも近い。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1730年代1840年代1860年代交響詩交響詩交響曲交響曲ロシア五人組ロシア五人組凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
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