古典

英国田園楽派

English Pastoral School

イングランド / 西ヨーロッパ · 1900〜1950年

20世紀初頭英国で、田園的英国民謡素材を交響的書法に取り込んだ作曲家群。

どんな音か

英国田園楽派は、広い草地、曇った空、遠くで鳴る教会の鐘を思わせる管弦楽。弦は柔らかく広がり、木管は民謡のような旋律を吹き、和声には古い教会旋法の影がある。ヴォーン・ウィリアムズの「揚げひばり」では、独奏ヴァイオリンが鳥の飛翔のように空へ伸びる。

生まれた背景

20世紀初頭のイングランドで、民謡収集、田園風景への郷愁、国民的な音楽語法の探求から生まれた。ドイツ・ロマン派やフランス近代とは違うイギリスらしい響きを探す中で、ヴォーン・ウィリアムズやホルストらが民謡やルネサンス音楽を現代の管弦楽へ取り込んだ。

聴きどころ

劇的なクライマックスより、旋律がどのくらい自然に息をするかを聴く。弦の弱音、木管の素朴な節、和音がはっきり解決しない柔らかさが鍵になる。静かな曲ほど、風景描写と内省が重なって聴こえる。

発展

ヴォーン・ウィリアムズ「タリスの主題による幻想曲」(1910)、「ロンドン交響曲」(1914)、「揚げひばり」(1914)、ホルスト「惑星」(1916)、バターワース「シュロップシャーの若者」、フィンジの宗教合唱、英国オラトリオ伝統が発展した。

出来事

  • 1903: セシル・シャープ、英国民謡採集開始
  • 1910: ヴォーン・ウィリアムズ「タリスの主題による幻想曲」
  • 1916: ホルスト「惑星」作曲
  • 1922: ヴォーン・ウィリアムズ「田園交響曲」(第3)

派生・影響

戦後の英国作曲家(ティペット、ブリテン、マックスウェル・デイヴィス)が田園楽派と批判的に対峙しつつ、その語法を再解釈した。

音楽的特徴

楽器管弦楽、合唱

リズム教会旋法、五音音階、田園的旋律

代表アーティスト

  • グスターヴ・ホルストイングランド · 1895年〜1934
  • レイフ・ヴォーン・ウィリアムズイングランド · 1900年〜1958

代表曲

日本との関係

日本では「惑星」のホルストが有名だが、田園楽派としてはヴォーン・ウィリアムズの作品がクラシック愛好家に親しまれている。英国映画やドラマの田園的な音楽イメージにも近く、日本の聴衆には落ち着いた管弦楽として入りやすい。

初めて聴くなら

まず「揚げひばり — レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ (1914)」。独奏ヴァイオリンと管弦楽の空気感が分かる。弦楽の深い響きなら「タリスの主題による幻想曲 — レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ (1910)」。大作としては「田園交響曲」も聴きたい。

豆知識

英国田園楽派は、ただの風景音楽ではない。第一次世界大戦前後の喪失感や、近代化の中で失われる土地への意識も含んでいるため、穏やかな響きの奥に深い影がある。 民謡収集の成果が作品の背後にあるため、単なる自然描写ではなく、失われつつある共同体の歌を管弦楽に移す試みとしても聴ける。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1860年代1900年代英国田園楽派英国田園楽派ロシア五人組ロシア五人組凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
英国田園楽派を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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イングランド · 1900年前後 (±25年)

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