伝統・民族

クレズマー

Klezmer

ポーランド / 東ヨーロッパ · 1700年〜

東ヨーロッパのアシュケナジ系ユダヤ人の民俗器楽音楽。クラリネットとヴァイオリンが特徴。

どんな音か

東欧アシュケナージ系ユダヤ人の伝統音楽。ヴァイオリン、クラリネット、アコーディオン、コントラバス、ドラム、ツィンバロン(ハンマー・ダルシマー)、トランペット、トロンボーンが基本編成。BPM 80〜180と曲種により幅広い。「フレイレフ」(陽気な踊り)、「ドイナ」(自由リズムの嘆き)、「ホラ」(円舞)などのリズム・パターン。歌は無いことも多く、歌付きの場合はイディッシュ語(東欧ユダヤ人の言語)。クラリネットの「泣き(キラリ・キラリと音を揺らす)」と、ヴァイオリンの哀愁が音色の中心。

生まれた背景

中世以降の東欧(ポーランド、ウクライナ、ルーマニア、ハンガリー、リトアニア、ベラルーシ)のシュテートル(ユダヤ人村)で、結婚式・祭礼・葬儀の音楽として発達。19世紀末から1920年代に東欧からアメリカ合衆国への大量移民とともにニューヨークに伝わり、20世紀前半に商業録音された。第二次大戦のホロコーストでヨーロッパの伝統が激減した後、アメリカ合衆国のユダヤ系コミュニティが伝統を保持。1970年代の「クレズマー・リバイバル」(Klezmorim、Andy Statman、クレズマー Conservatory Bandら)で世界規模で再発見された。

聴きどころ

クラリネットの「泣き」(音程を半音下げて持ち上げる、キラリ・キラリ)。ヴァイオリンの伝統的な装飾音(クレズマー独特のフレージング)。「ドイナ」(自由リズムの即興)から「フレイレフ」(踊り)に切り替わる瞬間の高揚感。曲の終わりに「Mazel tov!(おめでとう!)」の掛け声が入る祝祭感。

代表アーティスト

  • Naftule Brandweinアメリカ合衆国 · 1908年〜1963
  • Giora Feidmanアルゼンチン · 1957年〜
  • The Klezmaticsアメリカ合衆国 · 1986年〜

代表曲

日本との関係

日本でのクレズマー・シーンは小規模だが、ベツレヘムの星(東京)、Shtreiml東京などのバンドが活動している。映画『屋根の上のヴァイオリン弾き』(1971)を通じてクレズマーの音色が日本でも親しまれた。井上陽水、坂本龍一、菅野よう子らがクレズマー・ヴァイオリンの感覚を引用したことがある。

初めて聴くなら

古典なら、Naftule Brandwein『Naftule Brandwein, King of the クレズマー Clarinet』(1920年代録音、1996年再発)。リバイバル世代なら、The Klezmatics『Rhythm + Jews』(1990)、Andy Statman『Statman クレズマー Music』(1995)。映画『屋根の上のヴァイオリン弾き』のサウンドトラックも入りやすい。

豆知識

クレズマー」はヘブライ語の「kli zemer」(楽器)が語源。元々は「楽器奏者」を指す言葉で、ジャンル名としては19世紀以降に定着した。ホロコーストで東欧クレズマー伝統が壊滅的打撃を受けたが、アメリカ合衆国に渡った1〜2世代がイディッシュ歌手とともに保存し、1970年代以降の世界的リバイバルにつながった。

影響・派生で結ばれたジャンル

クレズマーを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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ポーランド · 1700年前後 (±25年)

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