ドイナ
ルーマニアの自由拍即興抒情歌。
どんな音か
聴きどころ
「Doina Oltului — Maria Tănase (1957)」では、歌い手が音節をどこで切り、どこで伸ばすかに集中する。そのタイミングの変化が「呼吸のリズム」と一致していることに気づくはずだ。「The Lonely Shepherd — Gheorghe Zamfir (1977)」(映画「バリントン」でも使われた)ではパンフルートの音量の変化が非常に微細で、大きなスピーカーより良質なヘッドフォンで聴くほうが体感が強い。
初めて聴くなら
「The Lonely Shepherd — Gheorghe Zamfir (1977)」は映像なしに聴いても音の求心力がある。この一曲でパンフルートという楽器の可能性を感じた後、「Doina Oltului — Maria Tănase (1957)」で声のバージョンへ進む。2曲の空気感のちがいがドイナの幅を示している。
代表アーティスト
- Maria Tănase
- Gheorghe Zamfir
- Taraf de Haïdouks
代表曲
- Ciocârlia (1900)
- Gheorghe Zamfir — The Lonely Shepherd (1977)
- Maria Tănase — Doina Oltului (1957)
生まれた背景
ドイナはワラキア、モルダヴィア、トランシルヴァニアにまたがるルーマニアの農村社会に伝わる抒情歌で、18世紀頃から記録がある。羊飼いが丘の上でひとりフルートを吹くイメージが典型的な文脈とされてきた。
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歌詞は故郷、別れ、移民の哀愁を扱う。「ドイナ」という言葉の語源はラテン語の「ドロル(dolor、痛み)」や、ダコ・ロマン語の語根との関係が論じられているが確定していない。20世紀初頭に民族音楽学者ベラ・バルトークがルーマニア農村で採譜・録音し、ヨーロッパに報告した記録がある。
音楽的特徴の詳細
楽器ナイ(パンフルート)、ツァンバル、ヴァイオリン、声
リズム自由拍(parlando-rubato)、メリスマ装飾、半音階下降
発展
Maria Tănase(1913-1963)が歌唱芸術として確立。Gheorghe Zamfirのナイ演奏で世界的に知られる。2009年ユネスコ無形文化遺産登録。
出来事
- 1908: Bartók採譜開始
- 1957: Tănase黄金期
- 1972: Zamfir国際進出
- 2009: ユネスコ無形文化遺産登録
派生・影響
Manele、Lăutari音楽、現代的Romani Music。
日本との関係
豆知識
ゲオルゲ・ザンフィルのパンフルート演奏は「クアイ・パン(Quai Pan)」と呼ばれる特殊奏法を含み、音の出し方が通常のリコーダー類とは大きく異なる。マリア・タナセは1950年代のルーマニア共産主義政権下でも活動を続けたが、当局との関係は複雑で、録音の一部は長く封印されていた。
影響・派生で結ばれたジャンル
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