ポーランド
Poland
北欧・東欧
ポーランドで「国民の音楽」とは何か。答えは、何を数えるかで真っ二つに割れる。アルバム売上と主要配信を集計する公式アルバム・ランキングOLiSでは、上位の大半を自国アーティストが占め、そのまた多くがポーランド語ヒップホップだ。2019年に「Patointeligencja」でブレイクした十代の旗手Mata、物語性のあるリリックで知られるTaco Hemingwayといった顔ぶれが、週ごとに上位を埋め尽くす。一方、地方の結婚式や祭りで定番のディスコ・ポロ(電子音の大衆ダンス歌謡)は熱心な聴衆を抱えるが、主に聴かれる場が無料のYouTube再生やライブ、地方での販売であるため、アルバムの売上やストリーミング等価の集計には反映されにくく、チャート上位には表れない。つまり何を物差しにするかで、ポーランドの「国民の音楽」はまるで別物に見える。
自国アーティストの人気曲

- Patointeligencja / 病理的知性 — Mata · 2019
Mataのデビュー曲が世代を象徴する社会派ラップに。エリート教育を受けた若者の自虐と批評。
海外アーティストの人気曲
世代・地域・経済による違い
Z世代が聴くのはほぼポーランド語ラップ一色だ。30代以上は1980年代を代表するニューウェーブ・ロック勢(Maanam、Republika、Lady Pank)と、Czesław Niemen のようなロックとソウルを横断する伝説的シンガーソングライターを支持する。地方や中高年層では、1980年代後半に生まれ90年代に大流行したディスコ・ポロが今も根強い。音楽の好みに社会的な背景——収入や学歴——が、他の欧州市場に比べてこれほど鮮明に映り込む国も珍しい。都市の若者はラップ、地方はディスコ・ポロ。その選択は趣味というより、どちらを聴くかを公言すること自体が、自分がどの層の出身かをあえて示す目印になっている。
参考資料
- OLiS ZPAV: https://www.olis.pl/charts
