バウル
ベンガルの放浪神秘主義者が歌う、内なる神を求める歌。
まずはここから
ひとことで言うとベンガルの放浪神秘主義者が歌う、内なる神を求める歌。
まずはこの曲からプールナ・ダース・バウル — Khoda Tomare Khujechhi
代表的な人ラロン・シャー
どんな音か
バウルの音楽は楽器の音と声が分離しているのではなく、歌い手が自分で楽器を演奏しながら歌う形が基本だ。エクタラ(一弦の竹製擦弦楽器または撥弦楽器)が単音の持続音を出し続け、その上に声が自由に揺れる。ドタラ(複弦の撥弦楽器)が複音を加え、ドゥゴー(小型の片面太鼓)が腰に結ばれて歩きながら叩かれる。声は細く引き延ばされ、音階の間を滑るような動きをする。「グル(神や師)への呼びかけ」というより、話しかけるような私的な質感がある。聴いていると、孤独な放浪者が夜道で独り言のように歌っている光景が浮かぶ。
聴きどころ
プールナ・ダース・バウルの「Khoda Tomare Khujechhi」(1968年)を聴くなら、エクタラの単音がどこまでも続く様子に耳を傾ける。その上で声がどのくらい自由に動けるかを確認する——西洋音楽的な「決まった音程に乗せて歌う」というより、音程の間を行き来する感覚がある。歌詞はベンガル語で書かれた神学的・哲学的内容だが、声そのものの質で「探し求める」という行為が伝わる。
初めて聴くなら
代表アーティスト
- ラロン・シャー
- プールナ・ダース・バウル
- Chirkutt
代表曲
- プールナ・ダース・バウル — Khoda Tomare Khujechhi (1968)
生まれた背景
音楽的特徴の詳細
楽器エクタラ、ドゥッキ、カマック、ドータラ、声
リズムケヘルワー・ダドラ、神秘的詞章、放浪歌唱
発展
20世紀前半、タゴール(ラビーンドラナート)がバウルの精神を高く評価し、その思想がタゴール・ソング(ラビーンドラ・サンギート)にも影響した。1960年代以降、ボブ・ディランら西洋アーティストとも交流(プールナ・ダース・バウルがディランとアルバム共作)があり、バングラデシュのファキール・ロボン・ファキールらが国際的に活躍した。
出来事
- 1774年: ラロン・シャー誕生。
- 1923年: タゴール『The Religion of Man』でバウル評価。
- 1968年: プールナ・ダース・バウルがボブ・ディランと共作。
- 2005年: ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」宣言。
- 2008年: ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に統合登録。
派生・影響
ベンガル現代フォーク(モヘネル・ピフィン・ファキーリ・ガーン)、タゴール・ソングへの精神的影響、世界のスピリチュアル・フォーク運動と連帯した。
日本との関係
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
系譜図を見る
感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
バウルが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。
