紅歌
中国共産党を称える、民謡を土台にした革命大衆歌謡。
どんな音か
中国各地の民謡を土台に、党・祖国・指導者を称える歌詞を載せた明快な愛国歌謡。郭蘭英のような民族唱法のソプラノによる伸びやかな独唱から、群衆の斉唱まで幅広い。西洋オーケストラと二胡や笛子などの民族楽器を併用する編曲が多い。
生まれた背景
1942年、毛沢東の延安文芸講話が「文芸は人民と政治に奉仕する」という方針を打ち出し、民間の旋律に革命的な歌詞を載せる創作が組織化された。陝北の民謡に毛沢東を称える歌詞を付けた『東方紅』はその象徴で、解放区から全国へ広がった。建国後は国家行事の音楽として制度化された。
聴きどころ
旋律そのものは各地の民謡に根ざしているので、土俗的で親しみやすい節回しが残っている点に耳を傾けたい。民族唱法特有の張りのある高音と、西洋オーケストラの厚い和声の組み合わせが独特だ。歌詞は抽象的なスローガンより「祖国の山河」を具体的に描くものが多い。
発展
建国(1949年)後、『我的祖国』など映画主題歌や国家的祝祭の歌が国民歌謡として定着した。文化大革命期には革命歌が日常生活を覆い、改革開放後はいったん退潮したが、2000年代以降「紅歌」として大規模な斉唱イベントの形で復興した。
出来事
- 1942年: 毛沢東の延安文芸講話。
- 1949年: 中華人民共和国建国、『東方紅』が事実上の準国歌的地位に。
- 2011年: 重慶での大規模な「紅歌」斉唱運動が全国的に注目される。
派生・影響
革命歌と京劇を融合させて革命模範劇(様板戯)が成立した。北朝鮮の革命歌謡やベトナムのニャック・ドにも影響を与えた。
音楽的特徴
楽器民族唱法の声、合唱、西洋オーケストラ、二胡・笛子などの民族楽器
リズム民謡由来の長調旋律、斉唱向きの明快な拍子、独唱と合唱の交替
代表アーティスト
- 郭蘭英
- 李双江
代表曲
- 东方红 (1944)
- 唱支山歌给党听 — 才旦卓瑪 (1963)
我的祖国 — 郭蘭英 (1956)
日本との関係
初めて聴くなら
郭蘭英『我的祖国(我が祖国)』(1956)が定番で、映画主題歌として国民的に親しまれた一曲。少数民族出身者の歌としては才旦卓瑪『唱支山歌給党聴』(1963)を。
豆知識
『東方紅』は1970年に中国初の人工衛星に搭載され、宇宙からこの旋律が送信された。ニャック・ドーが文字どおり地球の軌道を回ったわけである。
