二胡曲
二弦の擦弦楽器、二胡のための独奏・協奏曲。
どんな音か
生まれた背景
二胡は古くから民間楽器として使われてきたが、20世紀に入ると劉天華らの改革や音楽院教育を通じて独奏楽器としての地位を高めた。民間芸能の伴奏から、コンサートホールで演奏される独奏曲、協奏曲へ広がり、中国近現代音楽の中で重要な楽器になった。
聴きどころ
弓の圧と、音程を滑らせる指の動きを聴く。ピアノのように音程を点で置くのではなく、音と音の間を声のようにつなぐ。低い音ではかすれた哀愁、高い音では細く張る緊張が出る。伴奏があっても、二胡の歌う線が中心になる。
発展
1950年に阿炳の『二泉映月』が録音され、無錫の盲目の門付け芸人による即興曲が世紀の名作と評価された。閔恵芬・宋飛・薛偉ら名手が国際的に活躍し、二胡協奏曲『梁祝』『長城随想』などレパートリーが拡大した。教育機関も整い、世界各地で学習者が増えている。
出来事
- 1925年: 劉天華『病中吟』。
- 1950年: 阿炳『二泉映月』録音。
- 1959年: 二胡協奏曲『梁祝』。
- 1982年: 閔恵芬国際公演拡大。
- 2010年代: 二胡国際コンクール定着。
派生・影響
中国民族管弦楽団の中核楽器となり、ヴァイオリン教則を応用した教育体系、現代協奏曲創作、香港・台湾ポップスへの導入を生んだ。
音楽的特徴
楽器二胡(二弦)
リズム歌うような滑音・揉弦、五声音階基盤、ヴァイオリン的な独奏様式
代表アーティスト
- 阿炳(華彦鈞)
- 閔恵芬
代表曲
- Er Quan Ying Yue — 阿炳(華彦鈞) (1950)
- Ting Song — 阿炳(華彦鈞) (1950)
- 二泉映月 — 阿炳(華彦鈞) (1950)
Liang Xiao — 閔恵芬 (1985)
San Men Xia Chang Xiang Qu — 閔恵芬 (1990)
日本との関係
日本では中国音楽の代表的な音として二胡が広く知られている。テレビ、映画、ヒーリング音楽、アジア音楽イベントで耳にする機会が多く、教室で学ぶ人もいる。日本人奏者も活動しており、中国古典というより身近なアジア楽器として受け入れられている。
初めて聴くなら
入口は「二泉映月 — 阿炳(華彦鈞) (1950)」。二胡の哀愁を知る定番である。阿炳の別曲として「Ting Song — 阿炳(華彦鈞) (1950)」もよい。近代的な演奏表現を聴くなら「Liang Xiao — 閔恵芬 (1985)」へ進みたい。
豆知識
二胡は弦が二本しかないが、表情は非常に広い。弦と弓の間に弓毛が挟まった構造のため、ヴァイオリンとは違う発音になり、声に近い連続的な揺れを出しやすい。 中国近代の音楽教育では、二胡を民間伴奏の楽器から独奏楽器へ高めることが大きな課題になり、技巧と表現の幅が急速に広がった。
