ポップ

アート・ポップ

Art Pop

北米 · 2011年〜

2010年代以降にFKA twigs、Lana Del Rey、Caroline Polachek、Charli XCXらが確立した、実験的なプロダクションと作家性を強調したポップ。

どんな音か

ポップの構造の中に現代美術、文学、哲学、実験音楽の要素を持ち込む。BPM・編成は曲ごとに違うが、共通するのは「ポップとしての聴きやすさ」と「アート作品としての概念性」の両立。シンセサイザー、生楽器、サンプリング、エレクトロニカ、エフェクトを自由に組み合わせる。ヴォーカルは個性的で、メロディよりも声の質感が重要。歌詞はアートやファッションへの言及が多く、隠喩、引用、自伝性が混ざる。録音はプロダクションの細部まで凝るのが定型。

生まれた背景

1960年代のVelvet Underground、David Bowie、Roxy Music、Brian Enoがアート・ポップの祖。1970年代のKate Bush、Talk Talk、1980年代のDavid Sylvian、Scritti Politti、Peter Gabriel、Björkらが独自路線を作った。1990年代以降のRadiohead『OK Computer』(1997)、Beck『Sea Change』(2002)、現代ではFKA twigs、Frank Ocean、Lana Del Rey、St. Vincent、Caroline Polachek、Sufjan Stevensまで継続的に存在する。

聴きどころ

1曲のなかで楽器編成・テンポ・歌唱スタイルが何度も変わる構造。プロダクションの細部(リバーブ、パン振り、サンプル選び)に意図が込められている。歌詞の文学的引用、概念性。ジャケット・MV・ライブ・パフォーマンスを含めて作品を読み解く感覚が必要。

音楽的特徴

楽器シンセサイザー、ボーカル・エフェクト、サンプラー

リズム可変、実験的構成、強い作家性

代表アーティスト

  • Caroline Polachekアメリカ合衆国 · 2005年〜
  • Charli XCXイギリス · 2008年〜
  • Lana Del Reyアメリカ合衆国 · 2010年〜
  • FKA twigsイギリス · 2012年〜

代表曲

日本との関係

アート・ポップの伝統は日本にも深く、坂本龍一、矢野顕子、戸川純、フィッシュマンズ、コーネリアス、Salyu、椎名林檎、宇多田ヒカル(『Bad Mode』2022以降)などが該当。Björkは日本でカルト的人気があり、何度も来日公演を行っている。

初めて聴くなら

1枚だけ聴くなら、Kate Bush『Hounds of Love』(1985)。アート・ポップの教科書。Björk『Homogenic』(1997)、David Bowie『Low』(1977)、Radiohead『Kid A』(2000)、FKA twigs『LP1』(2014)、Sufjan Stevens『Carrie & Lowell』(2015)。

豆知識

アート・ポップ」という言葉、もとはRoxy Musicのブライアン・フェリーが1972年のインタビューで「アート・スクール出身のミュージシャンが作るポップ」という意味で使ったのが起点とされる。Björkは1990年代後半にRadioheadのトム・ヨークと度々コラボの構想があったが、双方のスケジュールが合わず実現しなかった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1950年代2010年代アート・ポップアート・ポップポップポップ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
アート・ポップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

アート・ポップ の系譜全体図(多段)を見る

同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

北米 · 2011年前後 (±25年)

ジャンル一覧へ戻る