津軽三味線
青森津軽地方発祥の太棹三味線による激しい器楽芸能。
どんな音か
青森発祥の三味線芸能で、『太棹』と呼ばれる太く短い三味線を、撥(ばち)で激しく打ち鳴らす。テンポは速く、リズムは正確で、ダイナミクスの変化( fff からpへの移行など)が表現を担う。ボーカルは、高い張りのある声で、民謡的歌詞を歌う。楽器と声が同等の重要性を持ち、時には楽器が前景に、時には声が前景に出る。単なる民謡ではなく、楽器の『確かな技術』が要求される点で、古典音楽的な特性も持つ。
生まれた背景
江戸時代後期から明治初期にかけて、青森県津軽地方の盲目の音楽家(三味線弾き)たちにより、独自の弾き方と曲目が発展。当初は民間での祝い事や祭りで演奏されていた。戦前から戦後にかけて、『民族芸能』として再評価され、1970年代から全国的な演技競技会が開催されるようになった。高橋竹山(1919-1997)は、津軽三味線の最高権威者で、その弟子たちが伝統を継承。近年は若年世代の演奏家(吉田兄弟等)により、ロック・ジャズ等のジャンルとの融合も試みられている。
聴きどころ
発展
高橋竹山により舞台芸として全国化され、白川軍八郎・木田林松栄ら名人が流派を形成した。1970年代以降は全国大会を通じた競技化が進み、若手育成のシステムが整った。1999年の吉田兄弟ブーム以降、和楽器ロック・フュージョンとの融合が加速した。
出来事
- 明治期: 仁太坊が津軽三味線様式を確立。
- 1964年: 高橋竹山ソロリサイタル開催。
- 1986年: 津軽三味線全国大会制度化。
- 1999年: 吉田兄弟『いぶき』ヒット。
- 2008年: 上妻宏光らによる現代和楽器ジャンル形成。
派生・影響
現代和楽器ポップス、和ロック、上妻宏光・木乃下真市らによる新作器楽曲の母体。海外でも独自の人気を獲得しヴァイオリンの即興と並ぶ和楽器表現として知られる。
音楽的特徴
楽器津軽三味線(太棹)、撥
リズム強い撥打ち、即興変奏、加速的展開
代表アーティスト
- 高橋竹山
- 上妻宏光
- 吉田兄弟
代表曲
- Rising — 吉田兄弟 (1999)
日本との関係
初めて聴くなら
吉田兄弟の『Rising』。激しく、分かりやすく、津軽三味線の力強さが一発で伝わる。その後、高橋竹山の古典的演奏で、より歴史的・叙情的な側面を経験する。エネルギッシュな時間帯(朝や昼)に聴くことを勧める。
豆知識
津軽三味線の『撥の音』は、単なる楽器音ではなく、ほぼ『打楽器』に近い音響効果を持つ。通常の三味線と比べて弦が太く、棹が短いため、弦の張力が高く、撥との衝突音が強く出る。これが、『音』というより『音響的インパクト』を前景にする音楽的特性につながっている。
