ソーラン節
北海道ニシン漁の労働歌として19世紀中盤に生まれた民謡で、現在は学校行事や地域祭典の象徴的な歌。
どんな音か
ソーラン節の音は、張力に満ちた男性群合唱である。低い音域で『ヤサエ、サエ』というリフレイン(掛け声)を繰り返し、その上で旋律が流れる。テンポはBPM120前後で、かなりの加速度を持つ。リズムは2拍ではなく、微妙に『引きずり気味』の8分音符がシャッフル効果を生む。学校でのバージョンでは、鼓笛隊やドラムも加わり、よりマーチング的な響きになる。元々の漁業歌バージョンではシンプルで、男たちの肉体労働と同期した『ユニゾンの力強さ』が特徴である。
生まれた背景
ソーラン節は江戸時代後期から明治初期(1860〜1890年)、北海道の日本海沿岸でニシン漁が盛んだった時代に、庶民の労働歌として自然発生的に生まれた。歌詞は漁の安全と豊漁を祈る内容で、地域の民族宗教信仰とも結びついている。昭和期には童謡化され、学校教育に組み込まれ、現在では北海道の『第二の応援歌』的なステータスを持つようになった。2000年代には新歌舞伎町のテレビドラマで頻繁に使用され、さらに認知度が上昇した。
聴きどころ
男性群合唱の『ユニゾンのズレ』が生む力強さ。『ヤサエ、サエ』という掛け声のリズムが、他の歌詞とどう『ポリリズム』を成すか。テンポが進行する中での音量の『膨張感』。
発展
1920年代以降、ニシン漁の衰退とともに労働歌としての機能は失われたが、民謡としての保存が進んだ。1991年、稚内南中学校教員の伊藤多喜雄『TAKiOのソーラン節』を素材に「南中ソーラン」が考案され、全国の学校で流行した。
出来事
- 明治期: ニシン漁労働歌として成立。
- 1924年: ニシン漁衰退で労働歌としては減退。
- 1991年: 南中ソーラン振付の誕生。
- 1992年: YOSAKOIソーラン祭り開始(札幌)。
- 2000年代: 学校運動会で全国的定番化。
派生・影響
南中ソーランは学校体育・YOSAKOIソーラン祭りなどの集団演舞ジャンルを生み、現代日本の祭り文化を牽引した。
音楽的特徴
楽器三味線、太鼓、尺八、声(囃子)
リズムヤーレンソーランの掛け声、二拍子、漁の動作に対応する節
代表曲
- ソーラン節 (1924)
日本との関係
ソーラン節は北海道内では極めて高い認知度を持つ。学校の運動会では必ず登場し、地域祭典でも頻繁に演奏される。本州での認知度も比較的高く、民族音楽愛好者の間では『日本民謡の代表格』として扱われている。ただ、都市部の若年層にはテレビドラマ経由での認識が主流。
初めて聴くなら
『ソーラン節』(標準版)。学校の音楽教科書収録版が最も入手しやすく、北海道の民族性が最も素朴に表現されている。朝方のランニングや体操の際に聴くと、この歌の『労働歌としての本質』が理解できる。
