伝統・民族

レパルト

Reparto

キューバ / 中南米・カリブ · 2018年〜

別名: Cubatón

ハバナのバリオ発、ジャマイカ系デンボウ × キューバのティンバ・ソン融合の高速ペレオ。Wampi、Oniel Bebeshito、故El Taigerら。

どんな音か

ハバナの「バリオ(下町)」発の高速ペレオ(腰振りダンス)音楽。テンポは115〜130BPMで、ドミニカ共和国のデンボウ由来の「ボン、ボンボン」と跳ねる定型リズムに、キューバ伝統音楽ティンバのコンガ/ボンゴの細かい刻みを乗せる。シンセは安価なソフトで作られた素朴な音色、ベースは短く切れ、声はオートチューンを深くかけた叫び気味の歌唱が中心。録音はラフで歪み、低域は割れ気味、しかしその粗さがエネルギーそのものになっている。

生まれた背景

2010年代後半、ハバナのセントロ・アバナやマリアナオなどの下町で、デンボウ(プエルトリコドミニカ共和国系のレゲトン原型)を独自に解釈する動きが地下で進行。Chocolate MC(ジャンルの祖の一人)からWampi、Oniel Bebeshito、El Taiger、Bebeshitoらが続き、SNSとUSB手渡し文化「El Paquete Semanal(毎週デジタルコンテンツを物理メディアで配布するキューバ独自の流通網)」を通じて拡散した。経済制裁とインターネット制限の中で生まれた、極めてDIYな大衆音楽。

聴きどころ

聴きどころはまず、ティンバ由来のコンガ/ボンゴが乗せる「裏拍の細かい刻み」。デンボウの単純なボンボンに、キューバ的な複雑なポリリズムが上書きされているのがレパルトの個性。歌唱は粗野で、メロディよりも掛け声と反復フレーズが中心。安いシンセの「チープな響き」を逆手に取った音作りも特徴で、洗練されたレゲトンと聴き比べるとほとんどパンクに近い荒さがある。歌詞はバリオの生活、ダンスフロアの熱、性的な誇示が中心。

代表アーティスト

  • El Taigerキューバ · 2009年〜2024
  • Oniel Bebeshitoキューバ · 2018年〜
  • Wampiキューバ · 2019年〜

代表曲

日本との関係

日本での認知度は極めて低い。レゲトン全般の認知も限定的な日本では、ハバナ発のさらにローカルなレパルトに辿り着くリスナーは現状ごく少数。ただし、東京の一部レゲトン専門パーティ(西麻布/渋谷の小箱)でWampiやBebeshitoがプレイされる場面はあり、サンプリング・ソースとして日本のビートメイカーが発見する余地は大きい。在日キューバ人コミュニティのイベントで聴ける機会もある。

初めて聴くなら

最初の一曲はWampiの『La Movie』。レパルトの粗さとティンバ的な打楽器の絡みが分かりやすく、サビの掛け声も覚えやすい。次にBebeshito & Wampiの『Las Que Yo Sé』を聴くとシーンの定型ノリが体感できる。El Taigerの『El Taiger』はベテラン勢の落ち着きがある。聴く場面は夏の夜、屋外で氷の入ったラム&コーラを片手に。日本の整った音響よりも、屋外スピーカーの歪んだ音で鳴らすほうが似合う。

豆知識

レパルト」はスペイン語で「区画」「地区」を意味し、ハバナの下町地区を指す俗語から来ている。「El Paquete Semanal(週刊パッケージ)」はキューバ独自の地下流通で、毎週1テラバイト前後のドラマ・音楽・ニュース・新作映画がUSBやHDDで国民に配布される非公式インフラ。レパルトはこの仕組みを通じて広まった史上初のジャンルとも言える。2020年代以降、米マイアミのキューバ系ディアスポラ経由でレゲトン本流へ越境し、Bad Bunnyなどの楽曲にもレパルト的な質感が反映されつつある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1900年代1990年代2000年代2010年代レパルトレパルトソン・クバーノソン・クバーノティンバティンバデムボウデムボウ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
レパルトを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

レパルト の系譜全体図(多段)を見る

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