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ポップ

ダンスバンド

Dansband

スウェーデン / 北欧 · 1970年〜

別名: Dansbandsmusik

社交ダンス用に作られた、スウェーデンの根強い国民的ダンス音楽。

まずはここから

ひとことで言うと社交ダンス用に作られた、スウェーデンの根強い国民的ダンス音楽。

まずはこの曲からVikingarnaDjingis Khan ▶ YouTube

代表的な人Vikingarna

どんな音か

ダンスバンドは、男女がペアで踊る社交ダンスのための音楽を演奏するスウェーデン発祥の音楽スタイルだ。フォックストロット、ワルツ、シュラーガー(独語圏の大衆歌謡)、そして時にスウェーデンのポルスカ(スウェーデン語polska、3拍子の伝統ダンス)を、穏やかで覚えやすいメロディと優しいハーモニーで奏でる。エレキギター、キーボード、サックス、アコーディオン、時にホーンを備えた5-6人編成のバンドが、踊りやすい一定のテンポで安心感のある音を届ける。派手さより「ちょうどよさ」を重んじ、年齢層20-70代までのカップルが同じ会場で踊れることを設計目標にしている。ジャンルとしては1960年代半ばに輪郭が固まり、1970年代に国民的娯楽として確立、以降50年以上ほぼ同じ様式で維持されている珍しい安定ジャンルだ。

聴きどころ

ダンスバンドの音は「派手さのなさ」自体が特徴なので、聴きどころは「安心して踊れるちょうどよさ」の具体的な設計に注目したい。まずテンポで、フォックストロットは110-130BPM、ワルツは84-96BPMという踊りやすい範囲に厳密に収まる。次にキーで、多くの曲がフラット2つまでの調(FメジャーやBフラットメジャー)に集中し、複雑な転調がほぼない。歌詞は愛、失恋、夏の思い出、酒場、旅など、シンプルで感情移入しやすい題材が中心で、皮肉や社会批評は基本的に含まれない。Vikingarna『Djingis Khan』はダンスバンドの陽気さと国民的人気を最も直接的に伝える。

初めて聴くなら

入り口はVikingarnaの『Djingis Khan』(1979)、ダンスバンドの陽気さと国民的人気を一度に伝える標準曲だ。次にLasse Stefanzの『Mississippi』(1985)、カントリー色を加えた1980年代のダンスバンドの型として。より現代のダンスバンドを聴きたければLarz-Kristerz(スウェーデン国内でTV人気番組『ダンスバンドskampen』を制した2000年代の若手)。しんみり集中して聴く音楽ではなく、休日の午後、明るい部屋で、家事をしながら流すのが向いている。

代表アーティスト

  • Vikingarnaスウェーデン · 1958年〜2004
  • Lasse Stefanzスウェーデン · 1967年〜

代表曲

生まれた背景

1950-60年代、ロックンロールとポップスがスウェーデンに流入した時期、地方のダンス会場(フォルケッツ・パルク、「人民公園」の意で、労働運動系の団体が運営する野外/屋内ダンス施設)では、これらの新しい米国音楽を「踊れる形」に翻訳する需要があった。従来のスウェーデン民謡は3拍子のポルスカ中心で、ロックの4/4は踊りにくく、逆にロックそのままではペア・ダンスの型が使えない。

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この折衷需要に応えたのが初期のダンスバンドで、Sten & Stanley(1962結成)、Ingmar Nordströms(1961結成)、そして最も成功したVikingarna(1958結成)が1970年代までにジャンルの標準を確立した。1979年のVikingarna『Djingis Khan』(独ユーロヴィジョン曲のスウェーデン語版)は国民的なヒットとなり、ダンスバンドスウェーデンのポップ・チャートの一角に定着させた。1985年頃からはLasse Stefanzがカントリー要素を加え、90年代以降はFriends、Larz-Kristerz(2000年代の若手)らが続いた。

音楽的特徴の詳細

楽器エレクトリックギター、キーボード、ベース、ドラムス、サックス、アコーディオン

リズムフォックストロットやワルツなど社交ダンス用の一定したリズム、穏やかなテンポ

発展

ヴィキンガルナやラッセ・ステファンスといった人気バンドが長年にわたり活動し、国民的な存在となった。世代を超えて社交ダンスの定番として支持され続けている。

出来事

  • 1979年: ヴィキンガルナの「Djingis Khan」が大ヒットする。
  • 1980年代: ラッセ・ステファンスがカントリー色を加えた人気バンドとなる。

派生・影響

近隣のノルウェーやフィンランドにも同種のダンス音楽文化があり、北欧全体で類似のスタイルが共有されている。現在も専用のダンス会場やフェスティバルで生き続けている。

日本との関係

日本にはダンスバンドと直接対応する文化はないが、機能的には昭和のムード歌謡と社交ダンス・ホール音楽の中間に位置する。特に演歌歌手/ムード歌謡バンド(黒沢明とロス・プリモス、鶴岡雅義と東京ロマンチカら)の音楽的機能——安心して踊れるテンポ、一定のリズム、感情移入しやすい歌詞——は、ダンスバンドと驚くほど近い。ダンスバンド日本ではほぼ紹介されていないが、ABBA以外のスウェーデン音楽を辿るときに必ず現れる巨大な存在で、実はABBAの結成メンバーの一部(Björn UlvaeusのHootenanny Singers)は初期にダンスバンド的な巡業も行っていた。日本の社交ダンス愛好家が耳にする「洋楽」の一部は、実は北欧経由のダンスバンド系楽曲だ。

豆知識

スウェーデン国内には『Svensktoppen』というダンスバンド専用のラジオ・チャートが1962年から2021年まで続き(1980年代の一時停止を経て継続)、ダンスバンドは実に長期にわたって独立した商業インフラを持ち続けた。SVT(スウェーデン公共放送)のTV番組『ダンスバンドskampen』(2008-2011)はダンスバンド版オーディション番組で、毎週の視聴者数が200万人(スウェーデン人口の1/5)に達した。

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海外ではほぼ無名のジャンルが国内でこれほど巨大な産業を維持しているのは、地方の週末ダンスホール市場(スウェーデン全国に数百のダンス会場がある)の底堅い需要が支えているからだ。ノルウェーとフィンランドにも同種のジャンルがあり(それぞれDansebandとイスケルマの一部)、北欧全体でこの「内需型ダンス音楽」の生態系が並行して維持されている。

影響・派生で結ばれたジャンル

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ジャンル関係図1950年代1970年代ダンスバンドダンスバンドシュラーガーシュラーガー凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ダンスバンドを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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