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ポップ

デンマーク・ポップ

Danish Pop

コペンハーゲン / デンマーク / 北欧 · 1990年〜

別名: Dansk pop

Aqua「Barbie Girl」からLukas Graham「7 Years」まで、コペンハーゲンから世界市場へ届いたポップの30年。

どんな音か

デンマーク・ポップは1990年代半ばからコペンハーゲンを中心に世界チャートを獲る商業ポップの総体を指す。特徴は「英語詞での初手世界市場」戦略(国内人口約590万人という市場の小ささゆえに、最初から英語で書き外国で売る前提の作曲がされる)と、乾いたエレクトロニックな質感、そして北欧的な光量の少ない色調のミックスにある。Aquaの1997年『Barbie Girl』が世界販売2000万枚超で口火を切り、Alphabeatの2007年『Fascination』がテン年代型ダンス・ポップに刷新、MØが2015年Major Lazer『Lean On』で世界最多再生曲(YouTube 30億再生超)にボーカル参加、Lukas Grahamが2016年『7 Years』で全米2位・世界1000万枚を売り上げた。スウェーデン・ポップ(ABBA/Max Martin系)と比較すると、Max Martinのような超巨大ヒット製造工房を持たない代わりに、個々のアーティストがより長く自分の名前で活動する傾向がある。

生まれた背景

1990年代前半、ユーロダンス勃興期にコペンハーゲンのプロデューサー・チームSøren RastedとClaus Norreenが女性ボーカルLene Nystrømと男性ボーカルRené Difを迎えてAquaを結成し、1997年『Barbie Girl』を書き下ろした。マテル社(バービー人形の製造元)がAquaを商標侵害で訴えたが、米連邦第9巡回控訴裁判所は2002年、この曲を『社会的批評を含むパロディ』として保護し、Aquaは勝訴した。この判決は以降のパロディ楽曲の法的先例として引用されている。皮肉なことに2023年の映画『バービー』のサウンドトラックでは、Nicki MinajとIce Spiceによる『Barbie World』が『Barbie Girl』をサンプリングし、マテル社公認の文脈でこの曲が復活した。

聴きどころ

Aquaの『Barbie Girl』はLeneとRenéの男女掛け合いが軸で、Leneの意図的にキャラクター化された甲高い声と、Renéの誇張された低音の対比がユーロダンスの典型「男ラップ+女サビ」の構造を極端化している。Alphabeatの『Fascination』はAnders SGとStine Bramsenのデュエット歌唱で、80年代シンセ・ポップの復権を先取りした音響設計だ。MØの『Lean On』ではMajor Lazerのトロピカル・ハウスのビート(2015年当時のヒット様式)の上に彼女の独特なノドの詰まったボーカルが乗り、彼女のボーカル・ラインだけを追うと北欧的な冷たさが顕著になる。Lukas Grahamの『7 Years』はピアノとストリングスによるバラード編成で、それまでのデンマーク・ポップの電子的な質感を意図的に排して人生譚を語るスタイル。

発展

2000年代に入るとAlphabeat(2004結成、オーフス出身の6人組)が『Fascination』(2007)『Boyfriend』(2009)でヨーロッパ大陸のダンス・ポップ・チャートを次々に獲り、次世代ではMØ(本名Karen Marie Aagaard Ørsted、1988-)がインディー・エレクトロニックからスタート、2015年Major Lazerとの『Lean On』で世界最多再生曲(当時)となった。決定打は2011年結成のLukas Grahamで、2015年『7 Years』が全世界1000万枚を売り、全米シングル・チャート2位、全英1位を獲得、デンマーク・ポップ史上最大のヒットとなった。

出来事

  • 1997年: Aqua『Barbie Girl』世界2000万枚
  • 2002年: Mattel対Aqua訴訟、パロディとして保護される判決
  • 2007年: Alphabeat『Fascination』欧州ヒット
  • 2015年: Major Lazer & MØ『Lean On』YouTube最多再生記録
  • 2016年: Lukas Graham『7 Years』全米2位・全英1位

派生・影響

スウェーデン・ポップ(ABBA/Max Martin系)と兄弟関係。ユーロダンスの直系派生。

音楽的特徴

楽器シンセサイザー、ドラムマシン、プログラム・ベース、エレキギター、ピアノ、ボーカル

リズム4/4の四つ打ち、EDM系ドロップ、シンセ・ポップの中庸テンポ、ミッド・テンポ・バラード

代表アーティスト

  • Aquaデンマーク · 1989年〜
  • Alphabeatデンマーク · 2004年〜
  • Christopherデンマーク · 2011年〜
  • Lukas Grahamデンマーク · 2011年〜
  • デンマーク · 2012年〜

代表曲・古典

代表曲・現在

日本との関係

日本でのデンマーク・ポップの最大接点は、Aqua『Barbie Girl』の1997-98年のオリコン洋楽チャート上位(単曲売上約35万枚)とその後のカラオケでの定着だ。1990年代末のパラパラ・ブームでも本作は必修レパートリーになり、当時ディスコに通った世代の共通言語となった。Lukas Graham『7 Years』(2016)はオリコン洋楽シングル1位、ビルボード・ジャパン洋楽チャート1位まで到達し、以降J-WAVEなどのFM局で継続的にオンエアされる楽曲となった。MØは2018年フジロック・ホワイトステージに出演、Major Lazerとしてもソラマチ級の大型公演を行っている。Christopher(Nissen)は2010年代後半に中国市場で予期せぬブレイクを果たし、その波の一部が日本にも届いた。

初めて聴くなら

入り口はもちろんAqua『Barbie Girl』(1997)、これを避けて通ることはできない。ジャンルの起点であり、当時の音の質感の記録でもある。次にLukas Grahamの『7 Years』(2016)、より抑制されたバラード編成でメロディを追う。MØの『Lean On』(2015)はデンマーク・ポップと世界市場の接点を最も明快に示す一曲で、Alphabeatの『Fascination』(2007)は00年代ダンス・ポップの一つの結晶だ。パーティやドライブで流すのに向いており、しんみり聴くジャンルではない。

豆知識

Lukas Grahamの本名はLukas Forchhammerで、コペンハーゲンの都市内自治区クリスチャニア(1971年に軍事施設跡地をヒッピーが占拠して作った半自治のコミューン)で育った。『7 Years』の歌詞は7歳、11歳、20歳、30歳、60歳という人生の節目を描いた自伝で、彼が20代前半で書いた曲だ。父親のEugene Forchhammerは俳優/音楽家で、Lukasがまだ幼少期の頃に亡くなっており、この喪失が『7 Years』の情感の下地になっている。MØのMは彼女の名Karen Marie Aagaard Ørstedの頭文字だが、彼女は自分の名前が長すぎることに嫌気がさして2文字に短縮したと語っている。Aquaのメンバー4人は現在も再結成ライブを不定期に行っており、2018年にはコペンハーゲンで復活公演を実施した。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1950年代1970年代1990年代デンマーク・ポップデンマーク・ポップポップポップスウェディッシュ・ポップスウェディッシュ・ポップ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
デンマーク・ポップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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