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伝統・民族

コラデイラ

Coladeira

ミンデロ(サン・ヴィセンテ島)、プライア(サンティアゴ島) / カーボベルデ / 西アフリカ · 1930年〜

別名: Coladera

カーボヴェルデの明るい2/4ダンス歌謡。モルナ、フナナと並ぶ三本柱の一本。

どんな音か

コラデイラは、カーボヴェルデ諸島サン・ヴィセンテ島とサンティアゴ島で1930-40年代に確立された、中速2/4のダンス歌謡だ。同じ島で歌われる悲哀のモルナ(遅い3拍子)、労働のフナナ(高速2/4)と並ぶカーボヴェルデ三本柱の一本で、明るさ、皮肉、社会風刺を核にする。編成はナイロン弦ギター、カヴァキーニョ(4弦の小型ギター)、ヴァイオリン、時にクラリネットとサックス、そしてリード歌手。テンポは110-140BPM、ベースは強調された2拍目、旋律にはポルトガル民謡由来のヘ短調・変ロ長調の郷愁が響く。歌詞はカーボヴェルデ・クレオール語(Kriolu)で、恋、噂話、政治への皮肉を扱う。作曲家B. Léza(1905-1958)がブラジル・サンバから輸入した半音下降和声「passagem à Léza」は、コラデイラモルナ両方の署名になった。

生まれた背景

モルナが19世紀後半にはすでに形式化されていた一方、コラデイラは1930-40年代のサン・ヴィセンテ島ミンデロで、モルナのダンス側面としてより速いテンポで確立された。ミンデロは大西洋横断航路の石炭補給港として英国船が寄港した都市で、外来のブラジル・サンバ、ポルトガル・ファド、イギリスダンス音楽が集まる文化的交差点だった。B. Léza(本名Francisco Xavier da Cruz)はこの環境の中でモルナコラデイラ両方の型を書き分けた第一世代で、彼の楽譜は現在もカーボヴェルデ音楽の共通レパートリー。戦後、ミンデロのカーニバルとダンスホール文化を軸にコラデイラは商業的な広がりを得た。

聴きどころ

まず2拍目のベースに耳を集中してほしい。コラデイラは4/4ではなく2/4の枠組みで作られ、その2拍目(あるいは4/4に読み替えたときの2・4拍目)に強いアクセントが置かれる。これはダンスの膝の屈伸と直接対応するリズムだ。次にカヴァキーニョの4分刻みの伴奏、そしてナイロン弦ギターのアルペジオが上に乗る典型的な編成が聴き取れる。Cesária Évora『Cabo Verde』(1997)のコラデイラ曲は、彼女の枯れた声質と、Bau率いる伴奏隊の抑制された演奏で、モルナの悲哀とは全く別の明るさを示す。B. Léza由来のpassagem à Léza(半音下降和声)は、和声の切なさとリズムの明るさが同居する独特の情緒を生む。

発展

戦後、ミンデロのカーニバルとダンスホール文化を軸にコラデイラは商業的な広がりを得た。1988年、Cesária Évora(1941-2011)がフランスLusafricaレーベルからデビュー、モルナと並んでコラデイラも国際的な耳に届けた。彼女の代表作『Miss Perfumado』(1992)、『Cabo Verde』(1997)にはコラデイラの快活な曲が並ぶ。2000年代以降はMayra Andrade、Tcheka、Bauらが伝統様式を保ちつつリスボンとパリのワールド・ミュージック回路に接続、若い世代はfunaná-coladeiraのハイブリッドを作っている。

出来事

  • 1930-40s: サン・ヴィセンテ島で成立
  • 1950s: B. Léza / Manuel de Novasのレパートリー確立
  • 1988: Cesária Évora Lusafricaデビュー
  • 1992: Cesária Évora『Miss Perfumado』
  • 2000s: Mayra Andrade / Tchekaの新世代

派生・影響

モルナとフナナと兄弟関係。ブラジルのサンバ、ゾウク(カリブ)、ポルトガル・ファドと相互影響。1990年代のkolá san jonへも影響。

音楽的特徴

楽器ナイロン弦ギター、カヴァキーニョ、ヴァイオリン、ベース、時にクラリネット/サックス/ピアノ、リード歌手+バッキング

リズム中速2/4(110-140BPM)、2拍目を強調するダンス・ベース、ポルトガル民謡由来の短調と長調の交錯、歌詞はKriolu

代表アーティスト

  • B. Lézaカーボベルデ · 1925年〜1958
  • Manuel de Novasカーボベルデ · 1955年〜2009
  • Tchekaカーボベルデ · 2000年〜

代表曲

その後の代表曲

日本との関係

日本での認知は主にCesária Évoraの1990年代以降の輸入盤経由だ。ただし彼女は「モルナの歌姫」として紹介されたため、日本のリスナーは彼女のコラデイラ曲とモルナ曲を区別せずに聴いてきた場合が多い。カーボヴェルデ音楽そのものの日本での枠組みは「モルナ=悲哀の歌」に固定されがちで、コラデイラの明るく皮肉のある側面は相対的に紹介が薄い。Mayra Andradeは2010年代に数回来日公演を行い、この空白を埋めつつあるが、Manuel de Novasの詩の質やB. Lézaの和声語彙が日本で本格的に論じられる機会は現時点でほぼない。

初めて聴くなら

最初はCesária Évora『Cabo Verde』(1997)からコラデイラ曲を選んで聴くのが最良だ。彼女の抑制された声とBauの伴奏の完成度が、コラデイラの型の理想形を示す。次にB. Léza名義の楽譜が残るスタンダード曲(『Lua Nha Testemunha』1955など)を、複数世代の歌手による録音で聴き比べる。若い世代からはMayra Andrade『Storia, Storia』(2010、彼女のコラデイラ路線の代表曲)、Tcheka『Argui!』(2003)がおすすめ。Tchekaはコラデイラをアコースティック・ギター一本で再解釈する独自のアプローチを取っている。

豆知識

コラデイラ」の語源はポルトガル語colar(貼り付く、密着する)由来で、ダンスの密着した性質を指すという説が有力だ。B. Lézaの「passagem à Léza」は、コード進行の1度→7度→短7度→短3度と半音ずつ下降する和声移行で、ブラジル・サンバのbossa nova和声にも通じる。この署名はCesária Évoraのモルナ・コラデイラ両方で執拗に用いられ、彼女の音楽の署名になった。カーボヴェルデ音楽をLusafricaレーベルで世界流通させたJosé da Silvaは、Cesária Évoraを1988年に発掘した張本人で、彼のプロデュース戦略なしに現在のカーボヴェルデ音楽の国際的位置付けはあり得なかった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1850年代1930年代1980年代コラデイラコラデイラモルナモルナフナナフナナキゾンバキゾンバ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
コラデイラを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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