WorldMusic

ヒップホップ・R&B

ヒップライフ

Hiplife

アクラ / ガーナ / 西アフリカ · 1994年〜

別名: Ghana Hip Life

1990年代ガーナでハイライフと米英ヒップホップが融合して生まれた、トゥイ語ラップを核とする若者音楽。

まずはここから

ひとことで言うと1990年代ガーナでハイライフと米英ヒップホップが融合して生まれた、トゥイ語ラップを核とする若者音楽。

まずはこの曲からReggie RockstoneSweetie Sweetie ▶ YouTube

代表的な人Daddy Lumba

どんな音か

ヒップライフは、1990年代半ばのガーナで、ハイライフのギター/ホーンの語彙と、米国東海岸のヒップホップのラップ様式を、トゥイ語(場合により英語、ガ語、エウェ語)で結合した独自ジャンルだ。テンポは概ね90-110BPM、ドラムはハイライフの跳ねる「オセ」を残しつつ、ヒップホップ的な打ち込みキックと乾いたスネアを重ねる。フックは集団コーラス、バースはソロ・ラップの構成が多い。「ヒップライフ」という語自体が『hip-hop + high-life』の混成語で、ジャンル名そのものが折衷主義の宣言になっている。

このジャンルを特徴づける代表的なリズムパターン。再生ボタンでループ再生し、下のリズム譜で今どの拍が鳴っているかを確認できます。

トラップ · 140 BPM

聴きどころ

Reggie Rockstone『Nightlife In Accra』(1997)を聴くと、ヒップホップのブレイクビートの上にハイライフのギター単音リフとホーン・サンプルが重なる型の原型が見える。Obrafour の詩的なフロウは、実はトゥイ語の四声調(高・中・低・降)をリズムに直接翻訳した設計で、これが英語ラップにない旋律感を作る。2010年代以降の Sarkodie では、フロウの速度が UK ドリルや米グライム級に上がる一方、フックは常にトゥイ語のコーラス歌唱に戻り、ジャンルのアイデンティティを保つ設計になっている。

初めて聴くなら

最初は Reggie Rockstone『Nightlife In Accra』(1997)、ヒップライフの起点そのものだ。次に Obrafour『Pae Mu Ka』(1999)、詩的ヒップライフの頂点。Sarkodie『Adonai』(2014)は Castro のフックが乗って歌としても入りやすい。夜の散歩、あるいはヘッドホンで歌詞を追いながらが向いている(トゥイ語なので歌詞対訳を横に置くと2倍楽しめる)。

代表アーティスト

  • Daddy Lumbaガーナ · 1986年〜
  • Reggie Rockstoneガーナ · 1994年〜
  • VIP (Vision In Progress)ガーナ · 1997年〜
もっと見る(あと7件)
  • Obrafourガーナ · 1998年〜
  • Ofori Amponsahガーナ · 1998年〜
  • Kwaw Keseガーナ · 2004年〜
  • Shatta Waleガーナ · 2004年〜
  • Sarkodieガーナ · 2009年〜
  • Stonebwoyガーナ · 2012年〜
  • Kwesi Arthurガーナ · 2017年〜

代表曲

もっと見る(あと7件)

生まれた背景

決定的な起点は1994年、ロンドンとニューヨークで10年以上ラップ活動をしていた Reggie Rockstone(本名 Reggie Osei、1964-)がガーナに帰国したことだった。当時のガーナ・ヒップホップは英語ラップが主流で「なぜ我々の言葉で書かないのか」という彼の問題提起が、1997年ソロ・デビュー『Makaa Maka』(『言えばこそ言える』の意)と『Nightlife In Accra』でトゥイ語ラップの型を示した。

続きを読む

1999年、Obrafour の『Pae Mu Ka』が全国級の詩的ヒップライフを、続いて2000年代前半に VIP、Kwaw Kese、Lord ケニア がシーンを拡張、2009年以降 Sarkodie が世代を代表するラッパーとなった。

音楽的特徴の詳細

楽器サンプラー、シンセ、ドラムマシン、エレキギター、声

リズムハイライフ系2拍系リズム、トラップ・ハイハット、トゥイ語ラップ

発展

2000年代にはVIPやサーキー、トリゴマティックが台頭し、ナイジェリア・アフロビーツやアフロ・ハウスとの交流が深まった。2010年代以降はEDMや南ア・アマピアノを取り込みアフロ・ポップの広域マーケットの一翼を担う。

出来事

  • 1994: レジー・ロックストーン帰国
  • 1996: VIPデビュー
  • 2003: ガーナ音楽産業協会GAMIA設立
  • 2010: サーキーがアフリカ全土でブレイク

派生・影響

ハイライフ、米英ヒップホップ、ナイジェリア・アフロビーツと相互影響し、現代アフロ・ポップ全体に流れ込んだ。

日本との関係

日本でのヒップライフの認知はほぼ Sarkodie 一人を経由している。彼は2019年に東京の ガーナian Community 主催イベントで小規模ライブを行っている。ガーナ・カルチャー・フェスティバル東京(2018-)は日本での hiplife 実演の中心的な場だ。日本の日本語ラップ・シーンでヒップライフを直接引用したアーティストは少ないが、UMB シーンの一部で Reggie Rockstone をリファレンスに挙げる MC は存在する。ガーナ・カルチャー・フェスティバル東京(2018-)で最も演奏されるのがヒップライフ系の楽団だ。

豆知識

Reggie Rockstone は正確には1997年より前(1993-94年)にヒップライフの原型を作っていたが、レコード化は Zap Mama のプロデューサー Rab Bakari と組んだ1997年の Kassa Records からだった。「ヒップライフ」という語は Reggie 自身の造語ではなく、ロンドンのガーナ人コミュニティで既に流通していた俗語だったと本人は語っている。

続きを読む

Sarkodie は2013年の ガーナ Music Awards で最年少で最優秀アーティスト賞を獲得、以降10年以上ガーナのラップ・シーンの絶対王者を務めている。彼の本名 Michael Owusu Addo の頭文字は Kanye West のミドルネームと同じで、幼少期からのニックネーム由来ではない。

影響・派生で結ばれたジャンル

系譜図を見る
ジャンル関係図1920年代1970年代1990年代2000年代2010年代ヒップライフヒップライフハイライフハイライフヒップホップヒップホップカプカカプカガーナ・アフロビーツガーナ・アフロビーツ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ヒップライフを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

ヒップライフ の系譜全体図(多段)を見る

感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル

ヒップライフが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。

関連ジャンルを探す

ガーナ · 1994年前後 (±25年)