ロマ音楽
ヨーロッパ全域のロマ民族の音楽伝統。
どんな音か
生まれた背景
ロマの祖先はインド北西部(現在のラージャスターン〜パンジャーブ地方)から出発し、10〜13世紀にかけてペルシャ、アナトリア、バルカンを経てヨーロッパに到達したと考えられている。各地を移動しながら音楽師・職人として生計を立て、その土地の音楽を吸収しながらロマ固有の感覚でつくり直してきた。定住を強制された19世紀以降も、音楽だけは移動性・即興性を保ち続けた。コチャニ・オルケスタル(マケドニア)やタラフ・ド・ハイドゥークス(ルーマニア)は1990年代のワールドミュージックブームで国際的に注目された。
聴きどころ
「Čaje Šukarije — Esma Redžepova (1971)」はマケドニアのロマ女性歌手による代表曲で、声の伸ばし方と切り方に中東・バルカン両方の影響がある。「Siki Siki Baba — Kočani Orkestar (1997)」では金管アンサンブルがどう一塊になって疾走するかを感じてほしい。「Carolina — Taraf de Haïdouks (1991)」ではバイオリンの即興がどこで本線から逸脱し始めるか追うと面白い。
発展
20世紀末以降のWorld Music潮流でTaraf de Haïdouks、Esma Redžepova、Kočani Orkestarら国際的スターが生まれた。映画音楽(Bregović、Kusturica作品)で国際的認知も高まった。
出来事
- 11世紀: ヨーロッパ移動開始
- 1971: 第1回世界ロマ会議
- 1991: Taraf de Haïdouks国際進出
- 1998: Bregović『Underground』
派生・影響
Flamenco、Balkan Brass、Cigányzene、Manele、Lăutari音楽などの広い母体。
音楽的特徴
楽器ヴァイオリン、ツィンバロム、アコーディオン、ブラス、ギター、声
リズム地域により多様(緩急対比、メリスマ歌唱が共通)
代表アーティスト
- Esma Redžepova
- Kočani Orkestar
- Taraf de Haïdouks
代表曲
- Čaje Šukarije — Esma Redžepova (1971)
- Carolina — Taraf de Haïdouks (1991)
- Siki Siki Baba — Kočani Orkestar (1997)
日本との関係
初めて聴くなら
「Čaje Šukarije — Esma Redžepova (1971)」で声から入るのが最も直接的な入口。次に「Siki Siki Baba — Kočani Orkestar (1997)」で金管の世界へ。2曲の温度差がロマ音楽の地域差をそのまま示している。
