チガーニ・ゼネ
ハンガリーのロマ楽団演奏様式。
どんな音か
ハンガリーのロマ(ジプシー)楽団による演奏様式。弦楽器(特にヴァイオリン、チェロ)が主体で、高い技巧性と感情的表現が特徴。リード奏者のヴァイオリンが、遅い導入部から始まり、徐々にテンポが上昇していく『サビ』的な構成を持つ。ハーモニー感覚は、中央ヨーロッパの民族音楽的で、フォルムは構造化されていながら、即興性が高い。音色は『輝き』と『深さ』の両方を持ち、感情的な『起伏』が音響に直結する。
生まれた背景
15世紀から16世紀にかけて、ロマ民族がハンガリーに移住し、宮廷音楽と民間音楽の両方に参入。19世紀から20世紀初頭にかけて、ハンガリー・ロマ楽団は、中央ヨーロッパの上流階級や市民階級の娯楽音楽として高く評価された。ソビエト支配下(1945年以降)では、ロマ民族への差別と同時に、『ハンガリー民族音楽の継承者』として、一定の文化的地位を与えられた。戦後から現代まで、ロマ楽団は、伝統と現代化の両立を試みている。
聴きどころ
Roby Lakatos の演奏では、ヴァイオリンの超高度な技巧性(ハーモニクス、弦の飛び移り、高速パッセージ)が、同時に感情的深さを失わない。『Pacsirta』(スズメ)では、楽器がまるで鳥の鳴き声を模倣し、自然と音楽が融合する。100 Tagú チガーニ・ゼネkarのような大編成では、複数のヴァイオリンが層を作り、ハーモニック・リッチネスが増す。
発展
20世紀前半までブダペスト・ホテル群で大流行。社会主義期に衰退するも1990年代以降Roby Lakatos、100 Tagú Cigányzenekarで国際復活。
出来事
- 1880s: ブダペスト全盛期
- 1985: 100 Tagú Cigányzenekar結成
- 1990s: Roby Lakatosで国際復興
派生・影響
Csárdás、Magyar Nóta、Liszt風ヴァイオリン技巧。
音楽的特徴
楽器ヴァイオリン(prímás)、ツィンバロム、ヴィオラ、コントラバス、クラリネット
リズムCsárdás緩急、Hallgatóの自由拍
代表アーティスト
- 100 Tagú Cigányzenekar
- Roby Lakatos
代表曲
Pacsirta — 100 Tagú Cigányzenekar (1990)
日本との関係
ハンガリー音楽への一般的関心が限定的であり、ロマ楽団音楽はさらに未知。ただし、クラシック音楽ファンの間では、一定の認識がある。
初めて聴くなら
Roby Lakatos の『Pacsirta』。ヴァイオリンの美しさと技巧性が一発で伝わる。その後、100 Tagú チガーニ・ゼネkar で、大編成の豊かさを経験。夜間の落ち着いた時間、またはロマンティックな雰囲気の中で聴くことを推奨。
