ラテン・カリブ
バチャータ
Bachata
ドミニカ共和国 / カリブ海 · 1960年〜
20世紀半ばのドミニカ共和国で成立した、ロマンティックな歌とギターを特徴とする音楽。
どんな音か
ドミニカ共和国生まれのスローダンス音楽。BPM 110〜140(ただし2拍子で感じるのでゆっくり聴こえる)。リクィント(レキント)・ギター(高音域のスチール弦ギター)、リズム・ギター、エレキベース、ボンゴ(2連の小型太鼓)、ギラ(金属製スクレイパー)が基本編成。ヴォーカルは男性が中心、語るように、しゃがれた声で歌うことが多い。歌詞はスペイン語、テーマは失恋、貧困、女性への憧れ、酒場の夜。「3つ叩いて間を取る(1-2-3, pause)」リズムが特徴的なギター・カッティング。
生まれた背景
1960年代のドミニカ共和国。ボレロ(スペイン語圏のロマン歌曲)とソン(キューバ音楽)を下敷きに、貧困層・農民層が酒場で歌った「下層の音楽」として始まった。当初は社会的に蔑視されていた(政府公式文化からは無視)。1980年代にホセ・マヌエル・カルデロン、ルイス・ヴァガス、レオニダス・グスマンらが地下シーンを作り、1990年代のフアン・ルイス・ゲーラの「バチャータ Rosa」(1990)が国際的にバチャータを認知させた決定打。2000年代にAventuraが「アーバン・バチャータ」(R&Bとの融合)で世界化、ロメオ・サントスが個人として活動して大成功した。
聴きどころ
リクィント・ギター(高音ギター)の細かいフレーズと、リズムギターの「カッ・カッ・カッ・チャ」(3つ叩いて間1つ)パターン。ボンゴが「ドゥッ・パッ・ドゥッ・パッ」と裏拍を強調する。ダンスは4拍子で「1-2-3-タップ(腰の振り)」のステップ。ヴォーカルが涙ぐむような表現を使うのも特徴。
代表アーティスト
- Juan Luis Guerraドミニカ共和国 · 1984年〜
- Antony Santosドミニカ共和国 · 1991年〜
- Aventuraアメリカ合衆国 · 1996年〜
- Romeo Santosアメリカ合衆国 · 2002年〜
- Xtremeアメリカ合衆国 · 2004年〜2010
代表曲
Bachata Rosa — Juan Luis Guerra (1990)
Voy Pa'lla — Antony Santos (1991)
Obsesión — Aventura (2002)
Te Extraño — Xtreme (2006)
Propuesta Indecente — Romeo Santos (2013)
日本との関係
日本のラテン・ダンス・コミュニティで一定の人気がある(横浜・新宿・大阪のダンス・スタジオ)。Romeo Santos、Aventuraが2010年代以降、世界規模の人気を持っているため、日本のラテン音楽ファンにも届いている。
初めて聴くなら
古典なら、Juan Luis Guerra『バチャータ Rosa』(1990)。世界化の決定打。アーバン系なら、Aventura『Obsesión』(2002)、Romeo Santos『Propuesta Indecente』(2013)。
豆知識
「バチャータ」はもとは「気軽な集まり、酒場での宴会」を意味するスペイン語。ドミニカ共和国では1962年のトルヒーヨ独裁政権崩壊までバチャータは「下層の不道徳な音楽」として正式メディアから排除されていた。1990年代にようやく国民的音楽として承認された経緯を持つ。
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