伝統・民族

ムバカンガ

Mbaqanga

ヨハネスブルク / 南アフリカ共和国 / 南アフリカ · 1960年〜

別名: Township jive

アパルトヘイト下の南アフリカ・タウンシップで1960年代に成立した、ズールー系の合唱とジャズ・ベースが交わる電化ダンス音楽。

どんな音か

ムバカンガは、南アフリカのタウンシップで育った電化ダンス音楽。ベースは跳ね、ギターは明るく刻み、女声コーラスが厚く応える。Mahlathiniの低いうなり声とMahotella Queensの鋭い合唱が組み合わさると、土の匂いと都会のスピードが同時に出る。ジャズ、ズールー合唱、ローカルなダンスが混ざった音だ。

生まれた背景

1960年代、アパルトヘイト下の南アフリカで、都市へ移った黒人労働者の娯楽として発展した。タウンシップのシビーン、ラジオ、レコード産業が音を広げ、女性コーラスと男性リードの組み合わせが人気を得た。政治的抑圧の中でも、踊りと歌は共同体の活力を保つ場になった。

聴きどころ

ベースの跳ねとコーラスの返しを聴くとよい。ギターは派手なソロより、短いリフを繰り返して踊りの床を作る。低い男性声が入ると、合唱の明るさに土台ができる。曲全体に前へ進む弾力がある。

発展

1960年代後半マハラジン・グループが商業的成功を収め、1980年代にはレディスミス・ブラック・マンバーゾの伴奏としてポール・サイモン『グレイスランド』(1986)に登場、世界に紹介された。アパルトヘイト撤廃後はクワイトに後景化したが、現代でもテンポ感はアフロ・ハウスや復興ジャズに引用される。

出来事

  • 1964: マハラジン・グループ結成
  • 1972: マハロサナ・クイーンズ国際巡業
  • 1986: ポール・サイモン『グレイスランド』参加
  • 1994: アパルトヘイト撤廃後の再評価

派生・影響

マラビ、クウェラ、ムブベの後継。クワイト、アマピアノ、現代南アジャズに連なる。

音楽的特徴

楽器エレキギター、ベース、ドラム、声(群唱)

リズム中速2和音シャッフル、グルーフ低音歌唱、女声コーラス

代表アーティスト

  • Mahlathini南アフリカ共和国 · 1964年〜1999
  • Mahotella Queens南アフリカ共和国 · 1964年〜

代表曲

日本との関係

日本ではワールドミュージック紹介やPaul Simon以後の南アフリカ音楽への関心から触れられた。広く流行したわけではないが、Ladysmith Black Mambazoやアフリカン・ポップを聴く人には近い流れとして理解しやすい。

初めて聴くなら

入口は「Marena — Mahotella Queens (1987)」。女声コーラスの強さが分かる。Mahlathiniの声を聴くなら「Indoda Mahlathini — Mahlathini (1987)」。ダンス音楽としての明るさは「Kazet — Mahotella Queens (1990)」がよい。

豆知識

ムバカンガはズールー語で蒸しパンのような庶民的な食べ物を指す言葉に由来するとされる。高級料理ではなく、日常の腹を満たす音楽という感覚が名前にも表れている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1920年代1960年代1990年代ムバカンガムバカンガイシカタミヤイシカタミヤマラビマラビクワイトクワイト凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ムバカンガを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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南アフリカ共和国 · 1960年前後 (±25年)

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