ジャズ

マラビ

Marabi

ヨハネスブルク / 南アフリカ共和国 / 南アフリカ · 1920年〜

1920~30年代のヨハネスブルク・タウンシップで密造酒場のピアノ伴奏として育った、3和音の循環を踊らせる即興ジャズの源流。

どんな音か

マラビは、1920〜30年代の南アフリカ・タウンシップで育った、三和音の循環を軸にした踊れるジャズの源流。ピアノや小編成バンドが同じコードを繰り返し、客は密造酒場で踊り続ける。音は素朴だが、反復の中に都市の夜、抑圧下の娯楽、後の南アフリカ・ジャズへつながる種がある。

生まれた背景

ヨハネスブルク周辺の黒人タウンシップ、シビーンと呼ばれる非合法酒場で発展した。アメリカ合衆国ン・ジャズ、賛美歌、現地の旋律が混ざり、反復的な伴奏で長く踊れる音楽になった。アパルトヘイト以前から続く都市黒人文化の重要な音楽で、のちのクウェラムバカンガにも影響した。

聴きどころ

三つ程度のコードが循環する中で、メロディやリズムがどう変わるかを聴く。単純に聞こえる反復が、踊りの持続を作る。ピアノの左手やベースが地面を支え、右手や管楽器が短いフレーズで場を盛り上げる。

発展

1940年代にマラビはビッグバンド化してアフリカン・ジャズへ展開し、ジェイムソン・ファンドのドリー・ラスベ&ドラム・パッカーズらが活躍した。1950年代以降の強制移住と検閲でシビーン文化は壊滅的打撃を受けたが、マラビの和声循環はムバカンガ、クワイト、アマピアノに受け継がれる。

出来事

  • 1920s: ヨハネスブルク・ソフィアタウンの密造酒場で誕生
  • 1936: 初期商業録音
  • 1955: ソフィアタウン強制移住
  • 1986: スピード録音発掘

派生・影響

ムバカンガ、南アフリカ・ジャズ、クワイト、アマピアノの基層。

音楽的特徴

楽器ピアノ、ペダルオルガン、ベース、サンドル、声

リズムI-IV-V-I-IV循環、即興、シャッフル

代表アーティスト

  • Dolly Rathebe南アフリカ共和国 · 1944年〜2004

代表曲

日本との関係

日本では南アフリカ・ジャズの前史として紹介されることが多い。Dolly RathebeやSophiatownの文化に関心を持つと、マラビの重要性が見えてくる。ジャズ喫茶的なモダンジャズとは違う、酒場と踊りのジャズとして聴ける。

初めて聴くなら

録音時代としては「Meadowlands — Dolly Rathebe (1956)」が入口になる。タウンシップの記憶を聴くなら「Sophiatown is Gone — Dolly Rathebe (1962)」。踊りの明るさは「Phata Phata — Dolly Rathebe (1960)」で感じられる。

豆知識

マラビは、南アフリカの都市音楽がジャズをただ輸入したのではなく、自分たちの生活空間で作り直したことを示す。単純なコード循環は、踊り続けるための強い装置だった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1920年代1950年代1960年代マラビマラビクウェラクウェラムバカンガムバカンガ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
マラビを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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南アフリカ共和国 · 1920年前後 (±25年)

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