宗教・霊歌

イシカタミヤ

Isicathamiya

南アフリカ共和国 / 南アフリカ · 1920年〜

別名: Mbube

南アフリカ・ズールー系の鉱山労働者宿舎で1920年代以降に発達した、無伴奏男声合唱の宗教・世俗ジャンル。

どんな音か

イシカタミヤは、南アフリカのズールー系男声合唱。無伴奏で、低い声が深く支え、高い声が柔らかく上に乗る。大声で叫ぶより、足音を忍ばせるような滑らかさがあり、歌いながら小さなステップを踏む。Ladysmith Black Mambazoの声は、祈り、労働者宿舎の記憶、家族への思いを静かに重ねる。

生まれた背景

1920年代以降、南アフリカの鉱山労働者宿舎で発達した。地方から都市や鉱山へ出てきたズールー系労働者たちが、夜の合唱競技や教会的な歌唱を通じて共同体を保った。Solomon Lindaの「イシカタミヤ」は、のちに「The Lion Sleeps Tonight」へつながる国際的な流れも生んだ。

聴きどころ

低声部の厚みと、上声の柔らかい返しを聴く。リズムは激しくないが、足踏みや身体の揺れが声に入っている。歌詞が分からなくても、合唱が一つの呼吸で膨らみ、最後に静かに閉じる感覚が美しい。

発展

1960年代以降、レディスミス・ブラック・マンバーゾがジョセフ・シャバララ指揮で全国大会を制覇し、1986年ポール・サイモン『グレイスランド』への参加で世界デビューした。同年代に「ムベベ」の著作権訴訟がリンダ家族に印税の一部を取り戻した史実は重要である。

出来事

  • 1939: ソロモン・リンダ「ムベベ」録音
  • 1960: レディスミス・ブラック・マンバーゾ結成
  • 1986: ポール・サイモン『グレイスランド』参加
  • 2006: 「ライオンは寝ている」著作権訴訟和解

派生・影響

ムブベ、米国ドゥーワップへの間接的影響、現代南アフリカ・ゴスペル合唱の母体。

音楽的特徴

楽器声(無伴奏)、足踏み

リズムI-IV-V-I和声循環、ピアニッシモ歌唱、忍び足ステップ

代表アーティスト

  • Solomon Linda南アフリカ共和国 · 1933年〜1962
  • Ladysmith Black Mambazo南アフリカ共和国 · 1960年〜

代表曲

日本との関係

日本ではPaul Simon『Graceland』を通じてLadysmith Black Mambazoを知ったリスナーも多い。ゴスペルやアカペラ合唱の文脈でも紹介され、南アフリカの声の文化として親しまれている。合唱団がレパートリーとして取り上げることもある。

初めて聴くなら

入口は「Homeless — Ladysmith Black Mambazo (1986)」。英語圏にも届いた穏やかな名演である。歴史的な源流として「イシカタミヤ — Solomon Linda (1939)」。親しみやすい合唱の楽しさは「Hello My Baby — Ladysmith Black Mambazo (1986)」で聴ける。

豆知識

イシカタミヤは、つま先で静かに歩くという意味合いを持つ言葉とされる。力強い男声合唱でありながら、足音を抑えた優雅なステップを伴うところが、このジャンルの独特な美しさである。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1920年代1960年代イシカタミヤイシカタミヤムバカンガムバカンガ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
イシカタミヤを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

南アフリカ共和国 · 1920年前後 (±25年)

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