イシカタミヤ
南アフリカ・ズールー系の鉱山労働者宿舎で1920年代以降に発達した、無伴奏男声合唱の宗教・世俗ジャンル。
どんな音か
生まれた背景
聴きどころ
低声部の厚みと、上声の柔らかい返しを聴く。リズムは激しくないが、足踏みや身体の揺れが声に入っている。歌詞が分からなくても、合唱が一つの呼吸で膨らみ、最後に静かに閉じる感覚が美しい。
発展
1960年代以降、レディスミス・ブラック・マンバーゾがジョセフ・シャバララ指揮で全国大会を制覇し、1986年ポール・サイモン『グレイスランド』への参加で世界デビューした。同年代に「ムベベ」の著作権訴訟がリンダ家族に印税の一部を取り戻した史実は重要である。
出来事
- 1939: ソロモン・リンダ「ムベベ」録音
- 1960: レディスミス・ブラック・マンバーゾ結成
- 1986: ポール・サイモン『グレイスランド』参加
- 2006: 「ライオンは寝ている」著作権訴訟和解
派生・影響
ムブベ、米国ドゥーワップへの間接的影響、現代南アフリカ・ゴスペル合唱の母体。
音楽的特徴
楽器声(無伴奏)、足踏み
リズムI-IV-V-I和声循環、ピアニッシモ歌唱、忍び足ステップ
代表アーティスト
- Solomon Linda
- Ladysmith Black Mambazo
代表曲
- Hello My Baby — Ladysmith Black Mambazo (1986)
- Homeless — Ladysmith Black Mambazo (1986)
- Mbube — Solomon Linda (1939)
- Long Walk to Freedom — Ladysmith Black Mambazo (2006)
Wimoweh — Solomon Linda (1939)
日本との関係
初めて聴くなら
入口は「Homeless — Ladysmith Black Mambazo (1986)」。英語圏にも届いた穏やかな名演である。歴史的な源流として「イシカタミヤ — Solomon Linda (1939)」。親しみやすい合唱の楽しさは「Hello My Baby — Ladysmith Black Mambazo (1986)」で聴ける。
豆知識
イシカタミヤは、つま先で静かに歩くという意味合いを持つ言葉とされる。力強い男声合唱でありながら、足音を抑えた優雅なステップを伴うところが、このジャンルの独特な美しさである。
