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ラテン・カリブ

ラテン・ウルバノ

Latin Urbano

プエルトリコ / カリブ海 · 2015年〜

別名: Música Urbana / Latin Urban

2010年代後半にBad Bunny、J Balvin、Karol Gらの世代が確立した、レゲトン、ラテン・トラップ、デムボウを横断するスペイン語圏アーバン・ポップの総称。

どんな音か

ラテン・ウルバノは、ひとつのジャンルというより「チャート上の括り」に近い。レゲトンラテン・トラップドミニカ共和国ン・デムボウから、R&Bやアフロビーツとの折衷までをひとまとめにした呼び名だ。曲の土台になるのが、ジャンルの名にもなったつんのめるようなリズム「デムボウ」と、ヒップホップでおなじみの重い電子的な低音(ローランドのリズムマシンTR-808によるズシッと響く重低音、通称808)。そこへ、シンセサイザーや、声を機械的に補正する「オートチューン」をかけた歌、トラップ特有の細かく刻むハイハット(連続して速く刻む音)を重ねていく。テンポ(1分間の拍数=BPM)は、ゆっくりめのレゲトン(85〜100BPM)から速めのデムボウ(115〜130BPM)まで幅がある。歌詞はスペイン語(時に英語混じり)で、テーマは恋愛とパーティー、ストリートの誇りと自己肯定。ジャンルの垣根を意図的にまたぐのが特徴で、TainyやSky Rompiendoといった一流プロデューサーは、1枚のアルバムの中でレゲトントラップ、R&Bを自在に行き来する。

生まれた背景

2010年代後半、レゲトンが世界へ広まる中で、トラップやR&B、EDMと混ざり合って生まれたカテゴリーだ。中心人物はプエルトリコ出身のBad Bunnyと、いずれもコロンビア出身のJ Balvin、Karol Gだ。J Balvinの「Ay Vamos」(2014)やNicky Jamの復活がレゲトンを世界的ポップへと押し上げ、Luis Fonsi feat. Daddy Yankeeの「Despacito」(2017)はYouTube再生回数の記録を塗り替えた。その立役者Daddy Yankeeはレゲトン草創期から現役で並ぶ。SoundCloud発の自作曲で頭角を現したBad Bunnyの台頭は、ラテン・トラップを一躍チャートの主役にした。甘いメロディのOzuna、硬派なトラップ寄りのAnuel AA、R&B感覚のRauw Alejandroら次世代が後に続く。Spotifyの編集プレイリスト「¡Viva Latino!」が、こうした音楽を世界へ届ける定番の窓口となった。Bad Bunnyの『El Último Tour del Mundo』(2020)は、全編スペイン語のアルバムとして史上初めてBillboard 200の首位に立った。続く『Un Verano Sin Ti』(2022)は同チャートの年間1位に輝いた——スペイン語アルバムとしては、これも集計開始以来初の快挙だ。英語が圧倒的に支配するアメリカ合衆国のメインチャートで非英語のアルバムが頂点に立つこと自体、ほとんど前例のない出来事だった。

聴きどころ

まず冒頭に短く入るプロデューサー名の音声(プロデューサー・タグ)に耳を向けたい。Tainy、Sky Rompiendo、MAGといった名前のつぶやきは、誰がこの曲の音を作ったかを示す小さな看板の役割を果たす。曲が進むと、うねるデムボウのリズムに808のベースが重なり、低音が揺れるように響いてくる。そこに重なる、オートチューンで揺れる歌声、客とのコール&レスポンス(掛け声と応答)、客演どうしの掛け合いも聴きどころだ。サビは短く旋律的で、ブリッジでいったん半分の速さのトラップ調に落ちてからビートが戻る曲も多い。

発展

現在ではグラミー独立部門が設けられ、ラテン・ポップの主流カテゴリとなった。

音楽的特徴

楽器シンセ、ドラムマシン、サンプラー

リズムデムボウ系/トラップ系、85-100BPM

代表アーティスト

  • J Balvinコロンビア · 2009年〜
  • Bad Bunnyプエルトリコ · 2013年〜
  • Karol Gコロンビア · 2013年〜

代表曲

日本との関係

日本でのラテン音楽シーンは2020年以降に拡大中。Bad BunnyのSpotify Wrapped世界1位の話題が報じられたり、Rosalía(スペインのラテン・ポップ歌手)の来日公演(2023)が話題になったりしている。

初めて聴くなら

1曲だけならBad Bunny『Tití Me Preguntó』(2022)——レゲトンの土台にトラップの落としを重ねた、いまの音の見本だ。しっとり系のJ Balvin & Bad Bunny『La Canción』(2019)、気だるい夏の質感のKarol G『Provenza』(2022)も外せない。スペイン側からウルバノに接近した例としてRosalía『DESPECHÁ』(2022)も聴くと、この括りの広さがわかる。

豆知識

彼自身もSpotifyで世界で最も再生されたアーティストに2020〜2022年の3年連続で選ばれた——これは史上唯一の記録だ。『Un Verano Sin Ti』(2022)はSpotify史上最多ストリーミングのアルバムでもある。アメリカ合衆国のグラミー賞では、こうした音楽の隆盛を受けて2022年の式典から最優秀ムジカ・ウルバーナ・アルバム部門(música urbana=ウルバノを指すスペイン語)が新設された。だが、そのすべてが始まる前のBad Bunny(本名Benito Antonio Martínez Ocasio)は、故郷プエルトリコのスーパーで袋詰めの店員をしながら、SoundCloudに自作曲を上げる青年だった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1990年代2010年代ラテン・ウルバノラテン・ウルバノレゲトンレゲトンラテン・トラップラテン・トラップ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ラテン・ウルバノを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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